投稿日:2020年5月13日 / 更新日:2026年4月22日
嗅覚障害は鍼灸で改善できる?原因と治るまでの目安を解説
カテゴリ: 味覚・嗅覚障害

嗅覚障害の原因とは?風邪や鼻炎で起こる理由
嗅覚障害は、風邪や鼻炎などによる炎症によって鼻の奥の嗅覚細胞がダメージを受けることで起こることが多いとされています。

この記事の執筆者
ミントはり灸院 院長
森本 賢司
高度専門鍼灸師
【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師
【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証
風邪がきっかけで嗅覚障害が起こりやすい
嗅覚障害とはその名の通り、ニオイを感じる嗅覚に障害が起きることを言います。ニオイが分かりづらい、今までとニオイの感じ方が違う、という状態です。
味覚とも関わっているので、嗅覚障害のせいで「味が感じられない」といった弊害もあります。
現在感染拡大している新型コロナウイルスでも、嗅覚障害や味覚障害を訴える人が多いと言われていますね。
新型コロナに関してはまだ解明されていない部分が多いのですが、風邪やインフルエンザがきっかけで嗅覚障害を起こす人もいます。
この記事では、その仕組みと治療法について説明していきたいと思います。
鼻炎や副鼻腔炎などの炎症が関係
嗅覚障害の85%が、鼻が原因だと言われています。嗅覚を感じる神経というのは、鼻の天井にあります。
長期間風邪が続いたり、インフルエンザなどの炎症によって鼻炎や副鼻腔炎になると、その炎症が鼻腔の奥に残ることがあるのです。
鼻腔の奥というのは、先ほども言ったように嗅覚を感じる神経がある場所です。鼻腔の奥(鼻の天井)には小さな穴があり、炎症による腫れがあるとふさがってしまいます。
つまり鼻腔の奥が腫れることによって穴がふさがり、嗅覚を感じる神経に影響するという仕組みです。
このように、風邪やインフルエンザなどで鼻炎を起こすことによって嗅覚障害は引き起こされやすくなります。
嗅覚障害は治る?回復までの目安
嗅覚障害は、「治るのかどうか」が非常に気になる症状ですが、結論から言えば原因によって回復の見込みや期間は大きく異なります。
適切に対処すれば改善が期待できるケースも多く、特に風邪や鼻炎がきっかけの場合は比較的回復しやすい傾向があります。
嗅覚障害の回復期間の目安
嗅覚障害は大きく分けて「鼻の問題によるもの」と「神経の問題によるもの」があり、それぞれで回復のスピードが変わります。
風邪や鼻炎などによる嗅覚障害の場合、鼻の奥にある粘膜の腫れや炎症によって、においの通り道が塞がれている状態です。このタイプであれば、炎症が落ち着くことで徐々に改善していきます。
一般的には、数週間から数ヶ月程度で回復するケースが多いとされています。
ただし、炎症が長引いている場合や、副鼻腔炎などが関与している場合は、もう少し時間がかかることもあります。
回復が遅れるケース
一方で、すべての嗅覚障害が同じ経過をたどるわけではありません。
例えば、
-
強い炎症が長期間続いている
-
嗅覚神経そのものにダメージがある
-
放置してしまい慢性化している
といった場合には、回復までに時間がかかったり、改善しにくくなることがあります。
特に注意が必要なのは、「そのうち治るだろう」と様子を見続けてしまうことです。
嗅覚は時間の経過とともに回復しにくくなるケースもあるため、適切なタイミングでの対処が重要になります。
早めの対処が回復を左右する
嗅覚障害の回復には、「どれだけ早く対応できたか」が大きく影響します。
初期の段階であれば、
・鼻の炎症を抑える
・血流を改善する
・粘膜の状態を整える
といったアプローチによって、回復を後押しできる可能性があります。
鍼灸では、鼻周囲や自律神経に関わる部位へアプローチすることで、粘膜の腫れや血流状態の改善を図り、回復環境を整えていきます。
特に、風邪後に「においが戻らない」といったケースでは、早期介入によって改善スピードが変わることも少なくありません。
嗅覚は、食事の楽しみだけでなく安全にも関わる大切な感覚です。
違和感を感じた段階で適切に対応していくことが、回復への近道になります。
嗅覚障害に鍼灸は効果ある?
嗅覚障害に対する鍼灸は、すべてのケースに有効と断定できるわけではありませんが、改善の報告があります。
鍼灸が嗅覚に与える影響
鍼灸では、鼻周囲や関連する部位への刺激を通じて
-
局所の血流改善
-
神経機能の調整
-
自律神経バランスの調整
といった作用が生じると考えられています。
特に、血流の改善により鼻腔や嗅上皮への酸素供給が促されることで、嗅覚機能の回復環境が整う可能性があるとされています。
文献で示唆されている効果
臨床報告レベルではありますが、
-
風邪後に長期間改善しなかった嗅覚障害が
鍼治療と嗅覚訓練の併用により改善した症例が報告されています (J-STAGE)
また、別の症例報告でも、
鍼治療によって自覚症状(VAS)が改善したことが示唆されています (明治国際医療大学)
さらに近年では、伝統医療(鍼灸・漢方)による嗅覚障害への有効性を示す報告もあり、
補完的治療としての位置づけが検討されている段階です (Medical Tribune)
どのようなケースで有効性が期待されるか
特に以下のような場合は、鍼灸との相性が良いと考えられます。
-
風邪やウイルス感染後の嗅覚低下
-
鼻炎や副鼻腔炎による嗅覚障害
-
完全に消失しているのではなく「低下している」状態
これらは、神経そのものよりも炎症や血流の問題が関与しているケースであり、環境改善による回復が期待できます。
嗅覚障害が生活に与える影響
嗅覚は生きる上で非常に大切な感覚
ニオイを嗅ぐと「快・不快」を感じる脳の部分に伝達されます。アロマオイルやお香など、好きな香りでリラックス出来るのは、このためです。
好きな香りによって癒されたり、とある香りで過去を思い出したり、嫌いなニオイで不快に感じたりします。
他にも、嗅覚によってガス漏れを察知することも出来ます。腐っている食べ物を嗅ぎ分けることも出来ます。本能的に自分の命を左右される情報を嗅覚によって嗅ぎ分けています。
嗅覚は生きる上で非常に大切な感覚です。
最初にも書きましたが、嗅覚は味覚とも深く関わっているので、障害が起きると美味しく食べたり飲んだりすることが困難になります。
食事がまともに出来ないので体重が減ったり、ストレスが増えてしまいます。
家族の分まで料理を作っている人は、自分では味が分からないため家族からも文句を言われてしまうそうです。
また、食べたり飲んだりすることでストレスを発散している人は多いものです。そんなストレス解消法も出来ないのは辛いですよね。
さらに、嗅覚異常が長期間に渡って続くことで身体が「不要な器官・神経・筋肉」とみなし、さらに戻りづらくなってしまいます。
こうならないためにも出来るだけ早く治療を開始することが重要です。
嗅覚を失うことの損失
嗅覚は、視覚や聴覚に比べると意識されにくい感覚ですが、日常の質を静かに支えている重要な機能です。これを失うことで生じる影響は、単に「においが分からない」という範囲にとどまりません。
まず大きいのは、食事の体験が大きく変わることです。
味覚は嗅覚と密接に関係しているため、においが分からなくなると、食べ物の風味や奥行きが感じられなくなります。これまで楽しめていた食事が「ただの栄養摂取」に近いものへと変わり、満足感の低下や食欲の減退につながることもあります。
また、嗅覚は記憶や感情とも深く結びついています。
例えば、季節の匂いや、ふとした瞬間に感じる懐かしい香りは、その人の記憶や感情を自然に呼び起こします。嗅覚を失うということは、こうした感情に触れるきっかけが一つ失われるという側面もあります。
さらに、日常生活における安全性にも関わります。
ガス漏れや焦げたにおい、食品の腐敗など、嗅覚は危険を察知するための重要なセンサーでもあります。これが機能しない状態は、無意識のうちにリスクを抱えている状態とも言えます。
こうした変化は一つひとつは小さく感じられても、積み重なることで生活全体の質に影響を与えていきます。
嗅覚は「なくても生きていける感覚」ではありますが、あることで日常に豊かさや安心をもたらしている感覚でもあります。
だからこそ、違和感がある段階で適切に向き合うことが重要です。
嗅覚の変化は見過ごされやすい一方で、生活の満足度や安全性に直結するサインでもあります。
嗅覚障害の対処法・改善方法は?
嗅覚障害は原因によって適切な対処が異なりますが、共通して重要なのは早期に状態を把握し、適切な対応を行うことです。
まず前提として、風邪や鼻炎、副鼻腔炎が関係している場合は、鼻の炎症を抑えることが回復の鍵になります。医療機関での治療に加えて、日常生活では鼻うがいや加湿などにより、粘膜環境を整えることが基本となります。
また近年では、嗅覚の回復を目的とした「嗅覚トレーニング(特定の香りを繰り返し嗅ぐ方法)」も広く行われており、神経機能の再活性化を促すアプローチとして取り入れられています。
一方で、体の状態そのものを整える視点も重要です。
血流や自律神経の乱れが関与している場合、回復が遅れることもあるため、全身のバランスを整えることが結果的に嗅覚の改善につながるケースもあります。睡眠の量と質がポイントになると当院では考えています。
鍼灸では、鼻周囲の血流を改善し、自律神経を整えることで、嗅覚機能の回復をサポートすると考えられています。特に、風邪後に「においが戻らない」といった段階で適切に介入することで、回復の後押しが期待できることもあります。
ただし、嗅覚障害は時間が経過するほど改善しにくくなる傾向があるため、
「様子を見る」期間が長くなりすぎないことが重要です。
違和感が続く場合には、状態に応じた対処を早めに検討することが、回復への近道になります。
味覚障害・嗅覚障害の症状別解説はこちら
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