ミントはり灸院・脳卒中後の痛みに鍼灸治療が有効?ガイドラインで認められた新たな選択肢

2025年8月15日

脳卒中後の痛みに鍼灸治療が有効?ガイドラインで認められた新たな選択肢

カテゴリ: しびれ・神経痛

脳卒中後の痛みに鍼灸

脳卒中の後に続くしつこい痛み(視床痛と複合性局所疼痛症候群)・・・「薬を飲んでも良くならない」「効いても副作用がつらい」そんな声を数多く耳にします。痛みは体だけでなく、気持ちや生活の質まで奪ってしまうため、ご本人もご家族も大きな負担を抱えてしまいます。

実は最近、この脳卒中後の痛みに対して医学的なガイドラインで鍼灸の鎮痛効果が認められ新しい選択肢として示されました。今回は、その解説と当院での取り組みについて解説していきます。

院長 森本 賢司

この記事の執筆者

ミントはり灸院 院長
森本 賢司

高度専門鍼灸師

【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師

【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証

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脳卒中後の痛みとは?

脳卒中の後遺症のひとつに、「ただの肩こりや関節痛とはまったく違う」特殊な痛みがあります。これは脳や神経の損傷によって生じるため、通常の湿布や鎮痛薬ではなかなか改善しないことが多いのです。その代表的なものが視床痛と複合性局所疼痛症候群(CRPS)です。

視床痛について

視床痛は、脳卒中によって脳の深部にある「視床」という部分が損傷を受けたときに起こります。特徴的なのは、

・軽く触れただけで強い痛みを感じる
・ピリピリ、ジンジン、焼けるような感覚が続く
・気温の変化や服が触れるだけでも痛みが悪化する

といった症状です。

この痛みは日常生活に大きく影響し、着替えや入浴といった基本的な動作すらつらく感じることがあります。

複合性局所疼痛症候群(CRPS)について

CRPSは脳卒中後に特に手や足に現れやすい強い痛みと機能障害を伴う症状です。

・激しい痛み
・腫れや皮膚の色の変化
・関節の動かしにくさ

といった特徴があり、見た目には変化が少ない場合も多く、周囲から理解されにくい辛さがあります。この症状が続くと、リハビリ中の動きも制限されてしまい、回復の妨げになることがあります。

従来の治療の限界

視床痛と複合性局所疼痛症候群のような脳卒中後の痛みに対して、これまで主に行われてきたのは薬物療法です。鎮痛薬や抗うつ薬、抗てんかん薬などが用いられ、神経の興奮を抑えることで痛みをやわらげることを目指します。

しかし、この方法にはいくつかの課題があります。

・効果には大きな個人差があり、十分に痛みが軽減されない場合がある

・長期使用による副作用(胃腸障害、肝機能への影響など)への不安

・眠気やふらつきといった症状が日常生活やリハビリの妨げになることもある

こうした背景から、患者さんやご家族からは

「薬以外に方法はないんでしょうか?」
という声が多く寄せられています。抗うつ薬にたする心情的な抵抗感を持つ方も少なくありません。
そういった不満や希望などから、以前から効果を出していたのが鍼灸治療でした。数々のデータが蓄積されたため、エビデンスが認められガイドラインに「推奨度A、エビデンスレベル高」と掲載されることになりました。

画期的なニュース:脳卒中ガイドラインでの鍼灸治療の位置づけ

エビデンスレベルAとは?

医学の世界では、治療法の信頼性を示すために「エビデンスレベル」という指標が使われます。中でもレベルAは多くの質の高い研究(ランダム化比較試験など)で一貫して効果が確認されています。最高ランクの医学的根拠を意味します。

つまり、レベルAに位置づけられた治療は「科学的に有効性が確かめられた方法」として日本の医学会に認められているわけです。

ガイドラインで認められた意義

今回、脳卒中治療ガイドラインにおいて鍼灸治療が明確に位置づけられたことは、大きな意味を持ちます。

医学界で正式に認定されたことで、医師やリハビリ専門職も推奨できる治療選択肢になったわけです。ちなみに保険診療になるとう話ではありません。

これまで医学界から「民間療法」と見られがちだった鍼灸が視床痛や複合性局所疼痛症候群については「医学的根拠のある治療」として評価されたということです。

今後、ガイドラインに基づいて病院の先生は鍼灸施術を推奨するようになります。それは薬が苦手、効果を感じないという患者さんにとって治療の幅が広がる

これまでにない新しい治療法というのは脳卒中後の痛みで苦しむ多くの方にとって、まさに新しい希望の扉が開いたともいえるニュースです。

「脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2025)
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鍼灸治療の特徴とメリット

鍼灸治療の仕組み

鍼灸は体の特定のツボを刺激することで神経や血流の働きを整え、脳や脊髄で痛みを感じる信号をコントロールします。さらに、自律神経や免疫系にも作用し、体が本来持っている自然治癒力を高める効果が期待できます。

特に痛みに関する分野においては薬で効果が出づらい痛みに対しても鍼灸刺激によって、体の鎮痛系を働かすことができるので、原因不明の痛みや薬が聞かない他の疾患においても効果を出すことができます。

従来治療との違い・併用の可能性

鍼灸治療によるメリットは

・体の反応を使って効果を出すことができるので、薬物療法との併用が可能で相乗効果が期待できます。

・副作用がないので、薬で発生しながちな眠気や胃腸障害などの副作用が少ない

・症状や体質に合わせて、刺激の強さや部位をオーダーメイドで調整できる

そのため「薬だけでは改善しきれない部分を補う治療」として、医療機関でも取り入れられるケースが増えています。

痛みや痛みの原因という意味では医療の場合は一義的に決まりますが、東洋医学においては発症している場所場所によって、痛みの原因が違うと考えているので痛みに応じた対応ができるというのも強みとも言えます。

患者さんの声

「服が触れるだけでもズキっとしていた腕の痛みが、数回の治療でだいぶやわらぎました。夜も眠れるようになって、リハビリに集中できるようになりました。」(60代・男性)

「副作用の心配がなく、薬と一緒に受けられるのが安心でした。痛みだけでなく手足の冷えやこわばりも楽になり、家事がしやすくなりました。」(70代・女性)

鍼灸院を選ぶ際のポイント

信頼できる鍼灸院の見分け方

脳卒中後の痛みは、一般的な肩こりや腰痛とは原因も経過も異なります。そのため、次の点を確認すると安心です。

・幅広い疾患に対応しており、神経系の症状にも経験がある

鍼灸院によっては、肩こりや腰痛などの整形外科的な症状を中心に扱うところもあれば、内科系や神経系の症状まで幅広く診るところもあります。
脳卒中後の痛みは、神経そのものや脳の損傷によって生じる「神経障害性疼痛」の一種です。一般的な筋肉のコリとは痛みのメカニズムが異なるため、神経系の症状に対応した経験と知識がある施術者の方が、適切なアプローチを選択できます。

・脳卒中後の痛みに関する知識と施術実績がある

同じ「脳卒中後の痛み」でも、視床痛や複合性局所疼痛症候群(CRPS)、痙縮による痛みなど、その原因や特徴はさまざまです。
例えば視床痛は軽い刺激でも激痛を感じやすく、CRPSでは関節や皮膚の状態が変化していることがあります。これらを知らずに一般的な刺激量で施術すると、症状が悪化するリスクもあります。
過去にこうした症状を持つ患者さんを施術した経験があり、症状ごとの注意点や安全な刺激量を理解している鍼灸院は、安心して任せられます。

・必要に応じて医療機関と連携し、紹介や情報共有ができる体制が整っている

脳卒中後の痛みは、医療機関での診断や薬物療法がベースになることが多く、鍼灸はその補完的な役割を担います。
信頼できる鍼灸院は補完する立場として、担当医の判断を尊重し、患者さんのメリットを最大化するための選択肢を提案します。東洋医学という立場から現代医療を批判する鍼灸師は要注意です。
医師や医療との正しい連携が薬の変更や検査が必要なタイミングを見逃さず、「安全性」と「効果の最大化」の両立が可能になります。

治療を受ける前の準備

鍼灸治療を検討する際は、次のステップを踏むことをおすすめします。

1:まずはかかりつけ医に相談し、鍼灸治療を受けることを相談してください。

2:施術中の注意点などを文章にしておき、担当する鍼灸師と共有しましょう。

3:鍼灸施術を受ける場合に「どれくらいの頻度で効果がでるまでの期間」を聞き、治療計画の目安を立てましょう。

事前準備をきちんと行うことで、治療の安全性と効果をより高めることができます。

よくある不安・疑問への回答

Q:「痛くないの?」

鍼灸で使う鍼は、注射針よりもずっと細く、髪の毛ほどの太さです。刺す瞬間に「チクッ」とする程度で、ほとんどの方が想像より痛くないと感じます。むしろ治療中は心地よくて眠ってしまう方も多くいらっしゃいます。

Q:「本当に効くの?」

脳卒中後の痛みに対する鍼灸は、脳卒中治療ガイドラインにも掲載され、最高レベルの医学的根拠(エビデンスレベルA)が認められています。多くの臨床研究で、痛みの軽減や機能回復に効果が報告されており、医療機関との併用治療としても推奨されています。当院でも多くの改善例があります。

Q:「費用はどのくらい?」

費用は鍼灸院や施術内容によって異なりますが、健康保険が適用される場合もあります(医師の同意書が必要です)。自由診療では1回4,000から7,000円程度が相場です。

Q:「どのくらい通う必要がある?」

症状や経過によって異なりますが、脳卒中後の痛みは慢性化していることが多く、週1から2回を数カ月続けるケースが一般的です。初期は集中的に行い、症状が安定してきたら間隔をあけていく方法がよく取られます。

まとめ

新しい希望の扉

脳卒中後の痛みに対して、鍼灸治療が脳卒中治療ガイドラインで正式に認められたことは、鍼灸業界にとっても患者さんにとっても大きな前進です。
これまで薬だけに頼るしかなかった方にも、「諦めなくていい、新しい選択肢がある」ことが明確になりました。

科学的な根拠に裏付けられた鍼灸治療は、あなたの生活を変える可能性を秘めています。

まずは相談から始めよう

「試してみてもし合わなければ、それでもいい」──そんな“ダメで元々”の気持ちで構いません。

まずは信頼できる鍼灸院を探して相談し、自分に合った治療方法や担当者を探してみましょう。見つけるのは少し大変かもしれませんが必ず見つかります。
一歩踏み出すことで、痛みが和らぎ「また普通の生活が送れるかもしれない」という希望が現実に近づきます。
どうか諦めないでください。

六甲道本院
三ノ宮院
明石院

ミントはり灸院からのメッセージ

脳卒中後の痛みは、見た目には分かりにくくても、日々の生活や心に大きな負担を与えます。ご本人はもちろん、支えるご家族にとっても、その辛さは計り知れません。

しかし、医学の進歩によって治療の選択肢は確実に広がっています。ガイドラインに含まれたことでお医者さんも鍼灸治療に前向きに背中を押してくれるでしょう。

どうか、痛みを抱えたまま「もう仕方ない」と諦めないでください。小さな一歩でも踏み出せば、そこから新しい可能性が広がります。

私たちは、あなたとご家族が再び笑顔で、旅行や楽しいことが当たり前にできる生活を取り戻せるよう、全力でサポートします。

当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。