投稿日:2024年4月17日 / 更新日:2026年2月5日
鍼治療の翌日に体がだるいのは「好転反応」?原因と早く治す過ごし方・注意点を解説
カテゴリ: 初めての鍼灸

鍼治療を受けた翌日に
「なんだか体がだるい…」
「これって大丈夫なの?」
と感じた経験はありませんか。
患者さんから問い合わせでも
「翌日は予定を空けておいた方がいいですか?」
「鍼をすると必ずだるくなりますか?」
といったご質問をよくいただきます。
結論から言うと、
鍼治療の翌日にだるさを感じるかどうかは人によります。
必ず起こるものではありませんし、事前に過度に心配する必要もありません。
ただし、一定の条件が重なると、
治療後~翌日にかけて「だるさ」「眠気」「ぼーっとする感じ」などを感じる方がいるのも事実です。
この記事では、
鍼治療の翌日にだるくなる主な原因
それが「好転反応」なのか、注意すべき状態なのか
だるさを早く回復させる過ごし方や注意点
について、臨床歴10年以上の経験から分かりやすく解説します。

この記事の執筆者
ミントはり灸院 院長
森本 賢司
高度専門鍼灸師
【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師
【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証
鍼治療の翌日にだるいと感じる3つの原因
鍼治療の翌日にだるさを感じる方には、いくつかの共通点があります。
まず前提として、すべての人に起こるわけではありません。
施術を行っている側から見ても、
「この方は翌日にだるさが出やすそうだな」
と感じるケースがあります。
その背景には、主に次の3つの要因が関係しています。
①交感神経の乱れ
もっとも多い原因が、交感神経の乱れです。
日常的にストレスが多い方は、無意識のうちに交感神経が優位になりやすく、
・血圧が高め
・筋肉が常に緊張している
・頭が休まらない
といった状態が続いています。
鍼治療は、本人の意思とは関係なく
自律神経(特に交感神経)の過剰な興奮を鎮める作用があります。
その結果、
普段から高めで推移していた血圧や神経の緊張が、治療後に一気に下がることで、
体がその変化についていけず「だるさ」として自覚されることがあります。
感覚としては、
二度寝をして深い眠りから急に起きた時のような状態に近いと考えると分かりやすいでしょう。
体の状態が変化しているにもかかわらず、感覚の切り替えが追いつかないことで、
一時的にだるさを感じるケースです。
②睡眠不足
次に多いのが、慢性的な睡眠不足や睡眠の質の低下です。
全身への鍼刺激には、
睡眠を深くする作用があります。
そのため、
・寝つきが悪い
・夜中に何度も目が覚める
・睡眠時間が慢性的に短い
といった状態が続いている方ほど、
治療後に想定以上に深い眠りに入ることがあります。
その結果、
「久しぶりにぐっすり眠れた」と感じる場合もあれば
逆に「寝すぎて体が重い」「起きてもスッキリしない」と感じる場合
の両方が起こり得ます。
後者の場合、
睡眠そのものは改善しているにもかかわらず、
体が深い休息状態から戻る途中でだるさを自覚していると考えられます。
鍼灸を受けたという特別なイベントがあった翌日なので、深く眠れたという認識を持てない場合もあります。
③症状の悪化が続く
3つ目は、鍼治療とは直接関係なく、症状の悪化が続いているケースです。
体の不調には波があり、
鍼を受けても受けなくても、タイミングによっては悪化に向かうことがあります。
大きな流れとして症状が悪化が継続している場合、
1回の施術では変化を感じにくく、そのまま不調が進行しているように感じることがあります。ある意味で何もしなくても翌日はしんどかったと言えます。
このとき、
「鍼を受けたから翌日は楽になるはず」
という期待とのギャップが生じると、
症状への感度が必要以上に高まり、
実際以上に不調を強く感じてしまう錯覚が起こることもあります。
この認識のズレが、
「鍼を受けた翌日にだるくなった」という印象を強めてしまう一因になります。
これは失敗?鍼の「好転反応」と「悪化(もみ返し)」を見分ける基準
鍼治療の翌日にだるさや違和感が出ると、
「治療が合わなかったのでは?」
「失敗だったのかな?」
と不安になる方は少なくありません。
しかし、治療後に起こる反応にはいくつか種類があり、
すべてが悪い反応というわけではありません。
大きく分けると、
・体が回復に向かう過程で起こる「好転反応」
・刺激が強すぎた、あるいは別要因による「悪化(もみ返し)」
この2つを見分けて冷静に対処することが重要になります。
通常のだるさは「1~2日」で治まるのが目安
好転反応として現れるだるさには、
ある程度の共通した特徴があります。
もっとも分かりやすい基準は、
「時間の経過とともに自然に軽くなっていくかどうか」です。
一般的には、
・治療当日~翌日にかけてだるさを感じる
・1日、長くても2日ほどで自然に軽減・消失する
・痛みよりも「重い・眠い・ぼーっとする」感覚が中心
といった経過をたどります。
この場合、
体が自律神経や血流の変化に適応している途中段階であり、
回復過程の一部として起きている反応と考えられます。
逆に、
・日ごとにだるさが強くなる
・3日以上たっても改善しない
・日常生活に支障が出るレベルで続く
といった場合は、
好転反応以外の要因を考える必要があります。
注意が必要な「もみ返し」や「内出血」との違い
注意すべき反応として挙げられるのが、
いわゆる「揉み返し」や局所的なトラブルです。
鍼灸はマッサージをしないのでいわゆる揉み返しはありませんが、施術が強すぎることによって組織損傷が起きる場合あります。
強いマッサージも同じ原理なので「揉み返し」で解説します。
揉み返しの場合、
・刺激を加えた部位に限局した痛みが強い
・押すとズキッとする、動かすと痛む
・日を追うごとに痛みが増すことがある
といった特徴が見られます。
好転反応が「全身的・ぼんやりした不調」であるのに対し、
揉み返しは局所的で、明確な痛みとして出やすい点が大きな違いです。
また、鍼治療後に起こることがある内出血についても、
多くの場合は皮下の毛細血管によるもので、
数日~1週間ほどで自然に吸収されます。
内出血自体が強いだるさや体調不良を引き起こすことは少なく、
見た目の変化に対する不安が大きくなりやすい反応と言えます。
「どこかでぶつけたわけではないのに青あざがある」という意味不明な体の変化に不安を覚える方も少なくありません。
ただし、
・強い痛みや腫れが続く
・患部に熱感や赤みが広がる
・明らかに施術前より症状が悪化している
と感じる場合は、
早めに施術者へ相談することが重要です。
鍼治療後の過ごし方の注意点
これから紹介するような鍼治療後の過ごし方をしてもらう、またはしないようにすることで鍼灸治療後のだるさなどの不快な症状を防ぐことができます。
注意点①:普段通りにすごす
できるだけ普段通りの毎日を送りましょう。
食べるものや量、就寝時間なども変えないほうがおすすめです。
時間帯に変化を与えると交感神経が乱れてしまいます。
治療後は身体に変化が起きているところなので外から刺激が入りすぎないようにいつもと同じ時間で過ごしてください。
注意点②:お水を飲む
鍼灸治療によって循環がよくなると代謝がによって身体の水が使われます。
トイレが近くなったり、汗がでたりしますが、それによって身体が水不足状態にならないようにしましょう。
利尿作用が入っていない水がおすすめです。
また初めての場所による緊張によっても多くの発汗んがあります。
予想を超えて水分が消費されているのでいつもより多く飲むぐらいでちょうどよいと思ってください。
注意点③:スマホで調べる
治療後に施術中に気になったことや症状のことをスマホで調べる人がいます。
ただ多くのネットの情報は偏った内容が多いです。
わかっていてもネガティブな情報に触れることでストレスを感じてしまいます。
ネガティブな感情は身体を硬直させたり、内臓機能の低下を起こします。
鍼の効果が無意味になるだけでなく、より悪化してしまいますのでスマホで調べすぎるのは注意してください。
注意点④:お風呂に入る
お風呂に入らないほうが良いと考える人が多いですが、鍼灸による傷は院を出る頃には塞がっています。
ですのでお風呂に入っても感染症などの心配はありません。
それよりもせっかく代謝が良くなっているときなので、お湯で全身を暖めるのは効果を高めますし、初めての経験による緊張感などを緩和することができるので入浴はおすすめです。
注意点⑤:〇〇すぎは控える
普段通りに過ごすに近いですが、食べ過ぎ、飲み過ぎ、激しい運動といった普段よりも身体への負担が大きいことは控えましょう。
理由としては何が起きるかわからないからです。
~すぎによる体の反応はどうなるか読めません。それによる副作用を鍼治療によるものだと勘違いしてしまう場合があります。鍼灸による翌日の身体の変化も治療においては大切な情報になります。
それを邪魔しないように過ごすことを意識してください。
鍼治療後に出る可能性のある症状は?
治療後に出る症状はその方の身体の特徴や生活習慣を表しています。
ということは治療後のだるさといった体の変化も治癒に向けては必要な反応であったりもします。
こういう情報を参考にすることで次の治療に反映していきます。
症状がでることで不安な気持ちになりますが、鍼灸師からすると何も変化がなかったと言われるよりは前向きな解釈になります。
そのことをぜひ知っていただいて、体の変化を観察して担当する鍼灸師に伝えてください。
それぞれの症状が何を意味しているか解説します。
症状①だるさ
だるさがある場合は「循環器」に弱さがある人に出やすい治療後の症状です。
寝不足や疲労感が強い人が治療をうけることでだるさが出ます。
日頃から心臓を酷使していて、血圧も少し高く、心拍数も多いのが普通の状態です。その状態で鍼灸治療を受けると、一過性に心臓が回復して、血圧が下がリます。
このときにだるさが起きます。
他にも筋肉の疲労が強い人にも部分的なだるさが起きる場合があります。
これはコリは疲労物質が溜まった状態ですが、それが鍼により排泄されたときに血中に溶け出します。それは悪いことではありませんが、一時的に疲労物質が血液を巡って全身を移動するときにだるさを感じることがあります。温泉に入った後のような感覚が近いです。
症状②めまい
めまいは平衡感覚もしくは眼精疲労がある人に起きやすい治療後の症状です。
鍼の刺激によって、これまで悪いところでバランスが取れていた均衡がくずれることで「めまい」の症状が出てしまうことがあります。
刺激を強くしすぎずに弱い刺激で徐々になれさせていく必要があります。
症状③眠れない
普段からストレス多くて気分が落ち込んでいる人やテンションが常に低い場合になりやすいです。
または治療中に恐怖感が強い場合も同じようなことが発生します。
これは鍼の刺激によって脳の興奮が収まらない状態になっています。
お風呂にゆっくりつかることや、治療を受けたことを考えすぎない、自分の症状などのスマホで調べすぎても寝付きが悪くなります。
症状④頭痛
首のこりや頭部全体の皮膚や筋肉が硬くなってしまっている人になりやすい症状です。
鍼灸によって循環がよくなると、一時的であっても血管の拍動が大きくなります。
そうすると、硬くなった筋肉や皮膚の間を走る血管が拍動によって筋肉を揺らしてしまいます。
パンパンに貼った硬いところに血管が拍動のたびに叩くようなイメージです。
この場合に拍動にあわせた痛みが出てしまうことがあります。
鍼治療後・翌日に不調が出た時の対処法
まずは不調のサインは「必ず終わる」「次の治療からは発生しない」ということを知っておきましょう。
不安感が強くなると、それによって身体が硬直して不調がさらに強くなることがあります。
まずは不安にならないことです。
次に少し楽になるまで横になって安静にしましょう。
多くの場合は昼寝や早めの就寝で症状が改善されます。
眠れるような状況でない場合は、すこし外を歩くなどしてください。
お水を飲むのも効果的です。
まとめ
「治療後のだるさ」は大切な情報です。
どんな症状が出たのかをメモに残しておいて、次回の治療のときに担当者に伝えてください。
不調の出方はひとそれぞれ違います。治癒に向けた大事な情報になります。
正確に伝えることが、自分のためにもなります。
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