2025年6月20日
下痢に効くツボ|即効性が期待できる3つの特効穴と正しい押し方を鍼灸師が解説
カテゴリ: 便秘下痢
突然の下痢に、外出先や仕事中で慌てた経験はありませんか?
最近では携帯用の下痢止めの薬も充実しており、うまく使うことで対処できるようになってきました。
ただ、いつまでも薬を使い続けることに抵抗を感じているなら「ツボ押し」が役立つかもしれません。
この記事では、鍼灸師の視点から即効性が期待できる3つの特効ツボと、効果を引き出す正しい押し方、長期的に下痢を解消する方法をわかりやすく解説します。
いざというときのために、ぜひ覚えておいてください。

この記事の執筆者
ミントはり灸院 院長
森本 賢司
高度専門鍼灸師
【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師
【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証
急な下痢を今すぐ止めたい!即効性の高い万能ツボ3選
急な下痢に襲われたとき、すぐに試せて副作用の心配もない対処法があれば安心ですよね。
ここでは、東洋医学の視点から即効性が高く、誰でも簡単に押せる“下痢の特効ツボ”を3つご紹介します。
それぞれのツボには、腸の働きを整えたり、冷えやストレスを和らげたりといった効果があり、状況に応じて使い分けることでより高い効果が期待できます。
ツボの詳細は後ほど解説しますが、概要として以下のようになります。
腹瀉点(ふくしゃてん):手の甲にあるツボで、下痢全般に幅広く対応。即効性が高く、まず押さえておきたい基本のポイントです。
裏内庭(うらないてい):足裏にあるツボで、冷えや急性の腹痛による下痢に特に有効。胃腸の緊張を素早く緩めます。
合谷(ごうこく):有名な万能ツボ。自律神経を整えて、ストレス性の下痢や腹痛を和らげる効果が期待できます。
できれば3つとも場所を覚えておいて、急な下痢のときにそれぞれ刺激をして自分にあったポイントを見つけて下さい。
腹瀉点(ふくしゃてん)|下痢全般に対応する手の特効穴
腹瀉点は、中医学における経外奇穴の一つで、主に下痢や腹痛の症状に対して効果を発揮するとされています。「腹瀉」とは下痢を意味し、その名の通り下痢全般に対応する特効穴として古くから活用されてきました。
腹瀉点は手の甲側に位置します。手の甲側で第3中手骨と第4中手骨間にあります。
ツボの探し方は、手の甲を上に向けて平らに置く。中指と薬指の骨の間を確認して、軽く圧迫してください。押しながら手首側に向かっていくと、やや敏感に感じる部分があり、そこが腹瀉点です。
腹瀉点の効果
・下痢の改善:急性・慢性を問わず下痢症状の緩和
・腹痛の軽減:下痢に伴う腹部の痛みの軽減
・腸運動の調整:腸の蠕動運動の正常化
・消化機能の改善:胃腸全体の機能向上
以下の症状に有効とされています。
・急性下痢
・慢性下痢
・過敏性腸症候群
・食中毒による下痢
・ストレス性の腹痛・下痢
ツボの効果的な刺激法と注意点
腹瀉点に親指を当てて、小さな円を描くように優しくマッサージしてください。
時計回りに10回、反時計回りに10回、これを2~3セット繰り返す。
左右の腹瀉点を交互に刺激するとより効果的です。
食事直後は避け、30分程度空けてから行ってください。
裏内庭(うらないてい)|冷えや急な腹痛を素早く鎮める足裏のツボ
急な腹痛や冷えによる腹痛に見舞われたとき、足裏にある特効穴を刺激することで驚くほど素早く症状を緩和できのが裏内庭です。裏内庭は、東洋医学における経外奇穴の一つで、足の裏側に位置する特殊なツボです。「裏」という名前が示すように、通常のツボとは異なり足裏にあります。
このツボの最大の特徴は、その即効性にあります。適切に刺激することで、わずか数分から十数分という短時間で症状の改善を実感できることが多く、特に急性の腹痛や冷えによる不調に対して顕著な効果を発揮します。
このツボは足の裏側、第2趾(人差し指に相当する指)の付け根付近に位置しています。
具体的な位置を見つけるには、まず足の裏を上に向けて座ります。第2趾と第3趾の間から足裏に向かって指を滑らせていくと、やや窪んだ部分を感じることができます。この窪みの中央部分が裏内庭の位置です。ぐっと押すと他の部分よりも少し敏感に感じたり、軽い圧痛を感じたりすることが多く、これが正しい位置を見つける目安となります。左右のどちらかに感じる場合が多いです。
裏内庭の効果としては消化器系と体温調節に関する症状に対して効果を発揮します。冷えに対する効果は特に顕著で、裏内庭を刺激することで全身の血液循環が促進され、末梢血管の血流が改善されます。これにより手足の冷えが和らぎ、内臓の機能も活性化されます。冷たいものを食べて調子が悪いときは有効なツボといえます。
裏内庭の刺激方法は指圧が簡単にできますが、ゴルフボールなどを使ってもかまいません。刺激量が強くなりすぎないように「痛気持ちいい」と感じる程度の強さで十分です。この状態を30秒から1分間保持しゆっくりと圧力を抜きます。これを3-5回繰り返すことで刺激効果を得ることができます。
冷えによる症状なので、ツボへの温熱刺激も有効です。例えば使い捨てカイロを活用してもよいでしょう。カイロを裏内庭の位置に貼りしっかりと暖めてください。ツボ押しと同様の効果があります。
足裏の刺激なので安全性はありますが、妊娠初期のかたや足裏に怪我がある場合などはこちらのツボの刺激はやめておきましょう。
合谷(ごうこく)|自律神経を整え痛みを和らげる万能手ツボ
下痢といえばストレスということで、自律神経の乱れがきっかけで下痢や腹痛をおこす場合のツボとなります。
合谷は東洋医学において「万能ツボ」として位置づけられ、頭痛から肩こり、ストレス性の症状まで、実に幅広い不調に対して効果を発揮することで知られています。
経穴学理論において、合谷は「原穴」として分類される特別な意味を持つツボです。原穴とは、その経絡の根本的なエネルギーが集まる場所を意味します。
刺激することでその経絡全体の機能を調整し活性化することができ、大腸経の原穴である合谷を刺激することは、大腸だけでなく関連する肺や皮膚そして全身の気血の流れに影響を与えることができます。
合谷には現代における自律神経の不調を改善する効果があると考えられています。
合谷の位置は、手の甲側で親指と人差し指の骨が交わる部分ですが、より正確には人差し指寄りの位置にあります。手の甲を上に向けて置き、親指と人差し指を自然に開いた状態で、親指の骨(第1中手骨)と人差し指の骨(第2中手骨)が合わさる部分です。
軽く押すとピリッとした感覚や鈍い痛みを感じる場所が合谷の正確な位置です。
合谷への刺激によって、自律神経への調整が行われます。交感神経と副交感神経のバランスを整えることで、ストレス反応を和らげ、心身のリラックス状態を促進します。この作用により、不眠、イライラ、不安感、動悸といったストレス性の症状に対して緩和効果があります。
それは消化器系への効果もあるということ。胃痛、腹痛、便秘、下痢といった消化器症状に対して、胃腸の蠕動運動を調整し、消化機能を正常化する作用があります。特にストレス性の胃腸症状には、自律神経調整作用と相まって高い効果を発揮します。
合谷の刺激方法は複数ありますが、最も基本的で効果的なのは指圧による方法です。刺激の時間は、一回につき30秒から2分程度が目安です。左右両方の合谷を刺激することが基本ですが、痛みに左右差があるときは敏感な方をを重点的に行うこともあります。
なぜツボで下痢が和らぐのか?東洋医学のメカニズムと科学的根拠
東洋医学では、下痢は主に「脾胃の虚弱」「湿邪の停滞」「肝脾不和」などの病因によって起こると考えられています。ツボの刺激によってこれらの問題が解決されると考えられています。
ツボの効果を科学的に解説すると、ツボの下には神経が集まっていたり、内臓の影響する血管や痛みに関連する筋走行上に位置していると言われています。さらに刺激によって体性-内臓反射が発生する意味でも医学的関連があり、これが治療効果の科学的基盤となっています。
「過敏性腸症候群に対する鍼灸治療の系統的レビュー」
Effects and Mechanisms of Acupuncture on Diarrhea-Predominant Irritable Bowel Syndrome: A Systematic Review
鍼治療によってIBSの下痢型の症状や生活の質を改善できたと報告されています。
ツボ刺激によって科学的には以下のようなメカニズムが働いていると言われています。
1:自律神経調節:副交感神経の活性化により腸管蠕動の正常化
2:神経伝達物質の調節:セロトニンやドーパミンなどの脳腸ペプチドの調整
3:炎症反応の抑制:抗炎症作用による腸管の状態改善
4:ストレス応答の軽減:視床下部-下垂体-副腎軸の調節
自律神経と腸の関係|ツボ刺激が消化器官に与える影響
自律神経は交感神経と副交感神経から構成され、消化管の機能に大きな影響を与えています。副交感神経の一種である迷走神経は、視覚、嗅覚、聴覚の刺激によって唾液、胃液、膵液、胆汁などの消化液の分泌を促進します。また、食物が胃に入ると、それが刺激となって迷走神経を介して胃酸や消化管ホルモンの分泌が活発になります。
一方、ストレスなどで交感神経が優位になると、消化管の血流が減少し、蠕動運動が抑制されます。これが慢性化すると、便秘や下痢、腹痛などの過敏性腸症候群の症状を引き起こす可能性があります。腸は自律神経と密接な関係にあるわけです。
ツボ刺激には迷走神経を活性化し、抗炎症作用を発揮することが明らかになっています。迷走神経の刺激により、腸管での炎症反応が抑制され、炎症性腸疾患や感染症の症状改善に寄与することが報告されています。
【原因別】あなたの下痢タイプに合った効果的なツボの選び方
これまでは突発的な下痢に対するアプローチを解説してきました。
ここまでの内容から突発的な下痢はストレスを引き金として発症しますが、それ以前に炎症や蠕動運動の低下など腸内環境が悪化していることがベースにあるわけです。
発症は突発であっても、状態は慢性化しているという認識を持っておくことが下痢の予防に欠かせません。
以下では長期的なアプローとしてのツボやケアの方法を紹介します。
ストレス・緊張性下痢|温溜+深呼吸で交感神経をリセット
ストレスや緊張が下痢を引き起こすメカニズムを解説します。人間の消化器官は、交感神経と副交感神経のバランスによって調整されており、ストレスを感じると交感神経が過度に活性化されます。活性されると、血流が手足や脳に集中する一方で、消化器官への血流が減少します。この状態が続くと、腸の働きが不安定になり、時には過度な蠕動運動が起こって下痢を引き起こすことがあります。
ストレスによる蠕動運動の異常が長く続くことで、有益な腸内細菌が減少し、有害な細菌が増加する傾向があります。これが腸の炎症反応を引き起こし下痢の症状を悪化させ、ちょっとしたストレスに対しても下痢をしやすくなるわけです。
そこで長期的な対策としてツボと深呼吸による交感神経をリセットしましょう。
温溜は、手の陽明大腸経に属する経穴です。このツボは、特にストレス性の消化器症状に対して高い効果を発揮することで知られています。
場所としては、手首の関節から肘に向かって約3分の1の距離にある前腕の外側です。より具体的には、手首を曲げたときにできるシワから肘までの距離のちょうど半分よりもやや手首寄りの場所に位置しています。
そして、深呼吸には副交感神経を優位にして一時的なリラックス効果がありますので、このツボを刺激しながら深呼吸を行うことで相乗効果を狙います。
深呼吸の方法は、まず鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませるように意識します。この時、胸ではなく腹式呼吸を行うことが重要です。息を吸う時間を4秒程度とし、その後2秒間息を止めてから、口から6秒かけてゆっくりと息を吐き出します。
ツボ押しと同期させるように、押しながら吸っていき、吐きながら緩めていきましょう。これを朝昼夜と1日3回程度行って下さい。すぐに効果が出るわけではないですが、数ヶ月くらいすると、以前に比べて胃腸のストレス耐性がUPします。
冷え・食あたり性下痢|陰陵泉+腹部保温で水分代謝を促進
冷えと食あたりは一見関係がなさそうですが、これは双方ともに胃腸の働きが低下していることが原因という意味では共通しています。
身体が冷えると、消化器官への血流が減少し、胃腸の機能が低下します。この状態では、通常であれば問題のない細菌や食べ物に対しても、身体の防御機能が十分に働かず、食あたりを起こしやすくなります。
冷えを起こすのは主には水分の過剰接種ですが、水分代謝が低下しているときは胃腸に水分が溜まってしまうことで消化液の薄まってしまい、消化に時間がかかり停滞することで胃腸を圧迫します。胃腸の圧迫は過剰な蠕動運動を促すキッカケになりることで下痢になるわけです。
そこで、ツボ押しと腹部への熱刺激によって無駄な水分を代謝して胃腸の働きを高めましょう。
陰陵泉は足太陰脾経に属する経穴です。水分代謝に関わる腎と胃腸の調子に関わる脾が弱っている時におすすめのツボです。陰陵泉の正確な位置は、内側のくるぶしから骨の後ろ側を上に向かって辿り、ひざの内側の下にある太い骨(脛骨内側顆)の下にあるくぼみです。このツボを見つけるコツは、膝の内側で最も骨が出っ張っている部分を探し、その直下の凹んだ部分を指で軽く押して軽い痛みを感じる場所です。
このツボ押しと、腹部を温めることを並行して行います。
方法としてはまず腹部保温から始めます。湯たんぽ、カイロなどを用いて、へそ周辺を中心とした腹部全体を温めます。温度は40度程度で15~20分間継続します。この温熱刺激により、腹部の血流が改善され、胃腸機能が活性化されます。
腹部保温が終わったらすぐに陰陵泉への刺激をします。ひざを軽く曲げ、ひざからすねをつかむようにしながら親指をツボにあてて、ひざの外側に向けて押しますという方法で、3秒間ゆっくりと圧をかけ、3秒間かけてゆっくりと離すという動作を5~10回繰り返してください。
ツボと温熱による刺激によって無駄な水分を排泄する作用が働きます。
この方法は食事前に行うことで、食べたものの消化を助けます。消化に関わる胃腸の回復は比較的早いです。1ヶ月ほど続けると効果を感じやすくなるはずです。
消化不良・食べ過ぎ性下痢|足三里+軽い運動で胃腸機能を活性化
不規則な食生活や食べ過ぎによる消化不良や下痢への対策になります。仕事等で遅くなって、帰ってからの食事だと少量であっても消化不良になることがあります。なぜなら就寝までの時間が短すぎるからです。生活習慣を早々変えられない方は、紹介する方法を試してみて下さい。
消化不良による下痢は、胃腸の消化機能が十分に働かないことで起こります。食べ物が適切に分解されず、未消化の状態で腸に送られることで、腸内環境が乱れ、水分の吸収が妨げられます。特に早食いや食べ過ぎの場合、胃酸の分泌が追いつかず、膵液や胆汁の分泌も不十分になることで、消化プロセス全体が滞ってしまいます。
このような状態が続くと、腸内細菌のバランスが崩れ、有害菌が増殖しやすくなります。焼き肉の次の日の便が臭くなるのと同じ原理です。また、腸の蠕動運動が過度に活発になったり、逆に鈍くなったりすることで、慢性的な下痢体質へと発展する可能性があります。
こういった状態を解消するのが足三里のツボです。
足三里は、膝下外側にある代表的なツボの一つで、胃腸機能の改善に古くから用いられてきました。このツボは、膝蓋骨の下縁から指4本分下がった位置の、脛骨の外側にあります。
足三里への刺激は副交感神経を活性化し、胃腸の血流を改善することが確認されています。また、消化液の分泌を促進し、腸の蠕動運動を正常化する効果があることも明らかになっています。
抜群に効果がある足三里に運動を組み合わせて消化を助けることができます。
運動によって刺激されるのは筋肉ですが、その消化は非常に早いのが特徴です。例えば大腿四頭筋をトレッドミルやスクワットで刺激をすると長時間の血糖値を下げる効果があると報告されており、それは消化された栄養をすぐに消費していることがわかります。
運動によって筋肉の力も借りて消化を促すというわけです。
方法としては朝起きた際に足三里を刺激し、その後15~20分の散歩を行うことから始めてみましょう。この習慣だけでも、胃腸機能の改善に大きな効果をもたらします。
夜遅い食事なら、食事の前に足三里を刺激して、準備をしながらスクワットを1分程度行う。それだけでも翌朝の胃のムカつきなどを予防できます。
足三里についてはお灸をするだけでも十分に効果がでるツボです。市販のお灸を使ってみるのも指圧より簡単かつ短時間にできるのでおすすめです。
効果を最大化する正しいツボの押し方と5つのポイント
今回紹介したツボは主に手足に存在します。
なので、強く押しすぎたからといってすぐさま胃腸が悪化するなどの副作用があるわけではありませんが、ただ下痢を早く治めたいあまりに強くなりすぎても即効性が増すわけではありません。
ツボ(経穴)は、気血の流れる通り道である経絡上の特定の点です。適切な刺激を与えることで気血の流れが改善され、臓器や器官の機能が活性化されます。
その適切な刺激は「気持ちよさ」です。
これではイメージしづらいと思いますので、NG例を紹介しますので押す際は「こうなってはいけない」と確認しながら刺激をして下さい。
強さ・時間・回数の目安とNG例
ツボ押しで最も避けるべきなのは過度に強い刺激です。「痛いほど効く」という誤った認識で強く押しすぎると、かえって皮下にある組織を損傷し、炎症を起こす可能性があります。特に青あざができるほど強く押すのは避けるべきです。手足の炎症は動かすときに痛みを感じてしまうので、生活の不便さが増してしまいます。
時間に関するNG例としては、一度に長時間押し続けることです。10分以上連続して同じツボを刺激すると、組織が疲労し逆効果になる可能性があります。押す側の指が痛くなってしまったり、首や肩が逆に疲れてしまうこともあります。
回数についても、一度に過度な刺激を与えることは避けるべきです。一つのツボに対して50回以上押すなど、過度な回数は組織に負担をかけ炎症を引き起こす可能性があります。
タイミングのNG例としては、食事直後や入浴直後、飲酒後のツボ押しがあります。これらの時間帯は血流が変化しているため、ツボ押しによる刺激が予想以上に強く作用する可能性があります。
また、発熱時や急性の炎症がある部位、外傷がある部位へのツボ押しは避けるべきです。妊娠初期やお腹の張りが強い女性は専門家に相談することをお勧めします。
子ども・妊娠中・高齢者への安全な刺激方法
身体が敏感なかたは刺激に対して弱い方のツボ押しのポイントは数を決めてササッと終わらせることです。
今回紹介したツボだと一般人なら3~5分間、10~15回の押圧を一日2~3回行うのが標準的な目安ですが、敏感な人なら強さは「心地よい」程度、時間は2~3分、回数は5~8回程度から始めていきましょう。
お子さんの場合は「手当て」といって、ツボの範囲に手を乗せるだけでも効果が出る場合があります。
もちろんNG例のようにならないように、タイミングなども必ず守って下さい。
ツボと相乗効果を発揮する今日からできる生活習慣改善
これまで紹介したツボを読むと、「ツボさえ押せばOK」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
健康は普段の過ごし方が最も影響を受けます。ツボや身体に優しい食事、ストレスを解消するための時間の過ごし方などは養生と言われている「病気になる前に体を整える生活」です。
普段から養生を意識することはとても大切ですが、そればかりでは窮屈な感じをする人も少なくないと思います。ちょっと疲れているなとか軽度の症状が発生したときにこそ養生やツボ押しをすればよいと思います。
そこで普段の生活の中でちょっと気をつけるポイントをお伝えします。
不調にならない、ツボを使わない生活を目指しましょう。
水分・食事で腸を休ませる即効ケア
下痢を防ぐための水分摂取の仕方としては食事前の水分摂取を控えるということです。
胃に水分が残ると胃酸が薄まってしまい消化が悪化することで下痢のきっかけになることになります。さらに大腸の機能低下は水分の吸収が悪化している状態です。
下痢だからといって水分を沢山飲むだけだと胃腸の負担はどんどん増えるばかりです。
おすすめの方法としては、水分は口に含むまでの量として口腔内でゆっくり水分を吸収するようにしましょう。タイミングとしても食事の前後約1時間は避けておくことです。
食事については食物繊維を多めに取ることが胃腸の負担を下げます。水溶性、不溶性のそれぞれを15gを目指してください。
最初は下痢っぽくなりますが慣れてくると便が安定してきますので気長に続けて下さい。食物繊維量が増えることで免疫力も高まりますし、水分の排出の力も高まります。食べることで腸が元気になります。
腹部を温めるストレッチ&呼吸法
腹部を温めるストレッチは、筋肉の緊張を緩和し血流を促進することで体温上昇を図る方法です。特に腹直筋、腹斜筋、横隔膜周辺の筋肉をゆっくりと伸ばすことで、内臓への血流が改善され、消化機能が活性化されます。
ストレッチは筋肉を伸ばし縮めることができますので、それを繰り返すことのポンプ作用によって血流が改善します。
仰向けの状態で行う「猫の伸びポーズ」です。床に仰向けになり両手を頭上に伸ばしながら、つま先も足首から遠くに伸ばします。この時、腹筋が自然に伸展し、深い呼吸と共に行うことで腹部全体の血流が改善されます。10秒間キープしてゆっくりと力を抜く動作を5回繰り返します。
次は身体を横向きにして「体側伸ばし」も効果的です。右側を下にして横向きになり、左手を頭上に伸ばして体の左側面を伸ばします。それぞれ30秒ずつ伸ばしましょう。
同時に呼吸法も意識してもらうと内圧の高まりによる血圧上昇や腹部の深層の筋肉にも刺激することになり温めることができます。腹式呼吸をするわけですが、吸った空気がお腹を触らますようなイメージでゆっくり呼吸をしましょう。とくにストレッチと並行しておこなうと効果高まります。
タイミングとしては夜間、就寝前が良いでしょう。一日の緊張を解放し、副交感神経を活性化させることで、夜間の消化機能改善と翌朝の快適な排便につながります。
効果がない場合の見直しポイントと医療機関受診の目安
ツボ押しをしても下痢がなかなか改善しない場合は以下の見直しポイントがあります。
ツボの押し方や場所が間違っている可能性もありますし、ツボでは効果のない病気が隠れているかもしれません。
紹介するチェックポイントを参考にして下さい。
押し方セルフチェックとよくある失敗例
□ツボの位置を正確に特定できているか(押した時に他の部位と異なる感覚があるか)
□「痛気持ちいい」程度の適切な強さで押せているか
□3~5秒間の押圧と1~2秒間の休息のリズムを守っているか
□一つのツボに対して3~5分間継続して刺激しているか
□一日に2~3回の頻度で実践しているか
□食事の適切なタイミング(食前30分または食後2時間)で行っているか
□リラックスした状態で深呼吸をしながら行っているか
□最低2~3週間は継続して効果を判断しているか
□体調に合わせて刺激の強さを調整しているか
□爪を短く切り、清潔な手で行っているか
最も多い失敗例は、ツボの位置がズレている場合です。教科書的な位置にこだわりすぎて、自分の体における正確な位置を見つけられていない場合があります。ツボにも個人差があるります。周辺を丁寧に探って最も反応(過敏)の良い点を見つけることが重要です。
強さの調整間違いもあります。効果を急ぐあまり強く押しすぎたり、逆に効果を感じないからといって弱すぎる刺激になったりしています。「痛気持ちいい」という感覚を大事にして下さい。
数日や1週間程度で効果が現れないと諦めてしまう人が多くいます。体質改善には時間がかかります。症状の変化を記録しながら、最低3週間は継続する必要があります。
タイミングの不適切さも効果を減少させます。食事直後や入浴直後、発熱時など体の状態が不安定な時に行うと期待した効果が得られません。体調と時間帯を守って下さい。
こんな症状は要注意!消化器内科を受診すべきサイン
以下のような症状が現れた場合は、ツボ押しを中止して速やかに医療機関を受診して下さい。
症状の急激な悪化や新たな症状の出現は、重篤な疾患の可能性があります。特に発熱、激しい痛み、呼吸困難、意識障害などの症状は緊急性が高いので直ちに医療機関での診察が必要です。
他にも血便、黒色便、持続する嘔吐、体重の急激な減少などの症状がある場合も専門医による診断と治療が必要です。
また3週間以上継続してもまったく改善が見られない場合や、症状が徐々に悪化している場合も、病院での専門的な検査が必要です。
原因不明の慢性症状もありますので、そのときはツボ押しセルフケアだけでなくお近くの鍼灸院にも相談してみましょう。
当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。