ミントはり灸院・鍼治療の「ズーン」とした響きはなぜ起こる?

投稿日:2023年9月12日 / 更新日:2026年1月8日

鍼治療の「ズーン」とした響きはなぜ起こる?

カテゴリ: 初めての鍼灸

鍼の「ズーン」と来る正体とは?

鍼治療を受けたとき、
奥の方にズーンと響くような感覚を経験したことはありませんか?

この独特の感覚は、鍼灸の世界では「得気(とくき)」と呼ばれることがあります。
人によっては「効いている感じがする」と前向きに捉える一方で、
「電気が走ったようで不安になった」
「刺しすぎでは? 神経に触れているのでは?」
と心配になる方も少なくありません。

ですが、結論からお伝えすると、
このズーンとした響き自体が、身体に悪影響を与えるものではありません。

むしろ、身体が反応しているサインのひとつと考えられています。

ただし、
・響いた=必ず効果が高い
・響かない=効いていない
という単純な話でもありません。

実際には、
筋肉や神経の状態、刺激の入り方、施術者の技術によって、
響きの出方は大きく変わります。

では、
なぜ特定の場所では強くズーンと感じるのか?
なぜ同じ人でも、日によって感じ方が違うのか?
そもそも「得気」とは何が起きている状態なのか?

今回のブログでは、
鍼治療で「ズーン」と響くメカニズムを、
専門用語をかみ砕きながら、できるだけわかりやすく解説していきます。

「なんとなく不安だった鍼の感覚」が、
納得と安心に変わるヒントになるはずです。

院長 森本 賢司

この記事の執筆者

ミントはり灸院 院長
森本 賢司

高度専門鍼灸師

【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師

【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証

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鍼治療で「ズーン」と響くメカニズム

鍼治療で感じる「ズーン」「ツーン」とした響きは、偶然起こっているものではありません。
身体の中で起こっている筋肉・神経・血流の生理的な反応が重なって生じる感覚です。
ここでは、代表的な3つのメカニズムをわかりやすく解説します。

① 筋肉の硬結(トリガーポイント)に鍼が到達したとき

慢性的なコリや痛みがある筋肉には、硬結(こうけつ)と呼ばれる硬くなった部分ができやすくなります。
これは一般的にトリガーポイントとも呼ばれ、痛みなどの原因になりやすい場所です。

この硬結に鍼が到達すると、筋肉は瞬間的に緩みが生まれます。
硬結の周りの筋肉にも緊張を与えているわけなので、患部が緩むことで引っ張られていたゴムがパンと緩んだときにゴムが広がります。

その際、内部で収縮や緊張の変化が起こり、重だるさ・奥に響く感じ・ズーンと広がる感覚として認識されます。

特に、普段から負担がかかっている筋肉ほど反応が出やすく、
「効いている感じがする」と表現されることが多いのがこのケースです。

ただ、トリガーポイントや硬結というものが何なのか?ということについては明確な答えは出ていません。

② 深部受容器(神経センサー)が刺激を受けたとき

筋肉や関節の奥には、身体の動きや緊張状態を感知する
深部受容器(しんぶじゅようき)と呼ばれる神経センサーがあります。

鍼は皮膚表面だけでなく、こうした深部の組織にも刺激を届けられるため、
表面的な痛みとは違う奥行きのある感覚が生じます。

その結果、
・ズーンと重く響く
・じわっと広がる
・一方向に流れるように感じる
といった感覚が現れることがあります。

これは神経を傷つけている状態ではなく、
感覚情報が脳へ伝わる過程で起こる正常な反応と考えられています。

特に筋肉と骨の境目あたりで発生しやすい響きです。

③ 血流・リンパの流れが変化するとき

鍼刺激によって筋肉の緊張がゆるむと、血管が拡張し、
血流やリンパの循環が一時的に大きく変化します。

この循環の変化が、
・じんわり温かく感じる
・重だるさが出る
・内側で動いているように感じる
といった感覚として表れることがあります。

特に、滞りが強かった部位ほど変化の幅が大きく、
その差として「ズーン」とした感覚を感じやすくなります。

この反応は、身体が調整モードに入ったサインのひとつであり、
必ずしも強い刺激が必要というわけではありません。

むくみが強い人はむくみのよる皮膚の緊張の感覚が常にありますが、それがすっと緩むことで逆に違和感を感じる場合があります。

「ズーン」と響いた方が効果がある?

鍼治療を受けた方の中には、
「ズーンと響いた方が効いている気がする」
「響きがないと物足りない」
と感じる方も少なくありません。

では実際のところ、響きが強いほど鍼の効果は高いのでしょうか。

響きが強いほど効果が高いわけではない

東洋医学、とくに中国鍼の考え方では、
「得気(とくき)」=「響き」が出ることで治療効果が高まる
とされる流派もあります。

得気が起こることで、
・鎮痛作用(脳内でエンドルフィンなどが分泌される)
・リラックス・精神安定作用
が引き出されると考えられており、
臨床でも積極的に響かせる手技が用いられることがあります。

また、患者さん自身が
「刺激を受けた」「治療されている」
と実感しやすいため、
あえて響きを使う鍼灸師も存在します。

飲食店でお客さんの目の前でフランベするのと同じ理由です。

ただし、これはあくまで数ある考え方のひとつです。

実際の臨床では、
・症状の種類や重さ
・施術部位
・その日の体調
・刺激に対する感受性
・響きとの相性
によって、最適な刺激量は大きく異なります。

一般的に、
「強いコリ=強い刺激が必要」
と考えられがちですが、
強い刺激が必ずしも良い結果を生むとは限りません。

強すぎる刺激は、
身体にとってストレスとなり、
かえって緊張を高めてしまうこともあります。

響かなくても身体は反応している

鍼の刺激は非常に微細で、
響きとして自覚されなくても、身体の中では反応が起きています。

筋肉の緊張緩和、
神経の調整、
血流・自律神経の変化などは、
必ずしも「ズーン」という感覚を伴うわけではありません。

実際、
・刺激をほとんど感じなかった
・いつの間にか眠ってしまった
というケースでも、
施術後に症状の変化を感じる方は多くいらっしゃいます。

一方で、
響きそのものを不快に感じる方の場合、
「効いている」感覚よりも
「つらい」「怖い」という印象が残り、
治療効果を実感しにくくなることもあります。

そのため重要なのは、
響かせるかどうかではなく、身体がどう反応しているかです。

必要な部位に対しては響きを使うこともありますが、
基本は「最小限の刺激で、最大限の変化を引き出す」こと。

当院では、
刺激が苦手な方、初めて鍼を受ける方でも
安心して続けられるよう、
過剰な響きに頼らない施術を大切にしています。

「ズーン」と感じなくても、
鍼はしっかり身体に働きかけています。

同じ効果が出るなら、ブスブスたくさん刺されて響きが強い治療と、細い針で必要な箇所への心地よい刺激の治療、どちらがいいですか?

これはその方の好みです。効果の違いはそれほどにないことを理解してください。

鍼治療後に「ズーン」が残っても問題ない?

鍼治療直後や数時間?数日間、治療部位にズーンとした響き・だるさ・軽い鈍痛感が残ることがあります。これは必ずしも異常ではなく、身体が反応している生理的な反応のひとつとして現れる場合が多いとされています。

治療後に響きや重だるさが続くのは、
・筋肉や神経への刺激反応
・血流・自律神経の変化
が持続しているためです。
これは「身体が刺激に反応し、回復プロセスが始まっている」サインとして考えてもよいです。

帰宅後の注意点やおすすめの過ごし方

鍼治療の効果を最大化し、体への負担を軽減するため、以下の過ごし方を意識してみましょう。

1. 安静と休息を優先する
治療直後から数時間は無理をせず休息をとります。強い運動や疲労の蓄積は避けましょう。

2. 水分補給をしっかり行う
鍼の刺激によって循環が促進されるため、水分を補うことで代謝や老廃物の排出を助け、反応の緩和が期待できます。

3. 食事を軽めにする
消化器系への負担を軽減し身体の回復に集中できるようにします。特に初回や強い反応を感じた日は注意しましょう。

4. 軽いストレッチやぬるめのお風呂
治療部位が強く重だるいときは、軽いストレッチや温浴で全身の調整を促すことで違和感が緩和することがあります。

六甲道本院
三ノ宮院
明石院

こんな時には施術者へ相談しよう

ほとんどの場合、「ズーン」「だるさ」「軽い鈍痛」は数時間~48、72時間以内に自然と解消します。

しかし以下のような場合は、施術者・医療機関に相談するのが安心です:

・響きや痛みが強く長引く

・明らかに筋肉痛とは異なる鋭い痛み

・めまい・しびれ・発熱など全身症状がある

これらは稀なケースですが、響きとは違う理由の可能性がありますので施術者に相談してください。

よくある質問

Q. 施術中に「ビクッ」と筋肉が動いたけど大丈夫?

はい、多くの場合は問題ありません。

鍼が筋肉やその近くを走る神経に刺激として入った際、筋肉が反射的に収縮することがあります。これを「筋収縮反射」や「局所的な反応」と呼び、臨床では珍しいものではありません。

特に、
・緊張が強い筋肉
・疲労やコリが溜まっている部位
では起こりやすい反応です。

一瞬「ビクッ」と動いても、その後すぐに違和感が引いていくようであれば心配はいりません。ただし、強い痛みや不快感が続く場合は、遠慮せずその場で施術者に伝えることが大切です。

Q. 妊婦・高齢者・子どもでもズーンは起こる?

起こることはありますが、頻度や強さは個人差が大きいのが特徴です。

年齢に関係なく
・感受性が高い方
・筋肉の緊張が強い方
がズーンとした感覚が出ることがあります。

妊婦さん・高齢者・子どもは、
刺激に対する反応が出やすい、もしくは疲れやすいケースもあるため、
通常は刺激量を抑えた施術が選択されます。

そのため、
「ズーンと響かせること」を目的にすることはほとんどなく、
安全性と身体への負担を最優先に施術が行われます。

不安がある場合は、事前に
「響く刺激が苦手」「刺激は弱めがいい」
と伝えておくと安心です。

当院ではお子さんの場合は鍼ではなくローラー鍼を使いますので響くことはありません。

Q. 好転反応(だるい・眠い・微熱)との違いは?

「ズーン」とした感覚と好転反応は、起こるタイミングと性質が異なります。

ズーンとした感覚
・主に施術中や直後に感じる
・刺激が入った“局所”に出やすい
・重だるさ、奥に響く感じとして自覚される

好転反応
・施術後数時間から翌日以降に出ることが多い
・だるさ、眠気、軽い発熱感など“全身”に出る
・自律神経や血流が変化した影響と考えられている

つまり、
ズーンは刺激に対するその場の反応、
好転反応は身体全体の調整過程で起こる反応
と考えると分かりやすいでしょう。

どちらも一時的で、
好転反応などは1から2日程度で自然に落ち着くことがほとんどです。

まとめ

鍼治療で感じる「ズーン」とした響きは、
筋肉・神経・血流などが刺激に反応した結果として起こる、生理的で自然な感覚です。
決して「危険なサイン」や「失敗」を意味するものではありません。

ただし、
・ズーンと響いたから必ず効果が高い
・響かないと効いていない
というわけではなく、

症状・体質・刺激量・その日のコンディションによって必要な刺激量は異なります。

また、施術後に一時的な重だるさや違和感が残ることもありますが、
多くは身体が調整に入った過程で起こる反応で、
休息や水分補給を心がけることで自然に落ち着いていきます。

大切なのは、
「どれくらい響いたか」ではなく、
身体がどう変化していくかを丁寧に見ていくことです。

不安や疑問があれば、遠慮せず鍼灸師に相談してください。
自分に合った刺激量・施術スタイルを施術者と作っていくことで安心で効果的になります。

正しい知識を持って、鍼治療を受けていただければと思います。

当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。