ミントはり灸院・緑内障に鍼灸は効果があるのか|眼圧・視神経・血流へのアプローチと正常眼圧緑内障への可能性

投稿日:2026年5月20日

緑内障に鍼灸は効果があるのか|眼圧・視神経・血流へのアプローチと正常眼圧緑内障への可能性

カテゴリ: 緑内障・白内障

「緑内障と診断されたが、点眼薬だけで本当に大丈夫なのか」
「眼圧は正常なのに視野が欠けていると言われた」
「進行を少しでも遅らせる方法はないか」

そう感じている方は少なくありません。

日本人で失明した方の約4割が緑内障を原因としており、緑内障は40歳以上で5%、60歳以上では1割以上の患者がいる、非常に身近な目の病気です。早期発見・適切な治療で失明率はかなり低く抑えられますが、治療をしても自覚症状がよくなることはなく、緑内障は点眼薬で進行を遅らせるものであって、欠けてしまった視野は元に戻らないという厳しい現実もあります。

だからこそ、標準治療に加えて「もうひとつの手を打ちたい」という気持ちは自然なことです。

この記事では、緑内障の基本的な仕組みを整理したうえで、鍼灸が眼圧・視神経・眼底血流にどのようにアプローチできるのかを解説します。

院長 森本 賢司

この記事の執筆者

ミントはり灸院 院長
森本 賢司

高度専門鍼灸師

【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師

【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証

>プロフィール詳細はこちら

緑内障とはどんな病気か

緑内障は「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患」と定義される、成人中途失明原因の第1位となる疾患です。

目の中には「房水」と呼ばれる液体が常に産生・排出されており、この循環によって眼圧が一定に保たれています。何らかの原因でこのバランスが崩れると眼圧が上昇し、視神経が圧迫されて視野が欠けていきます。

高眼圧緑内障と正常眼圧緑内障の違い

緑内障は大きく2つに分かれます。

ひとつは眼圧が正常範囲(10〜21mmHg)を超えて上昇する「高眼圧緑内障」です。房水の排出障害・眼内炎症などが原因で眼圧が高くなり、視神経を圧迫します。

もうひとつが「正常眼圧緑内障」です。現在では40歳以降の成人における全緑内障の72%が正常眼圧緑内障の患者であり、日本人の正常眼圧緑内障の割合は、他の諸外国と比べてもその傾向が著しく高いことが分かっています。

正常眼圧緑内障は、眼とその周囲の血流の悪化も一因と考えられており、この病気はしばしば偏頭痛、首肩こり、低血圧や高血圧の過剰治療、冷え症の女性、強めの近視などの方にリスクが高いことが挙げられます。これらの症状の多くが血流障害と関係している点からも、正常眼圧緑内障が眼とその周囲の血流障害、あるいは酸化ストレスなどによるものと推察されています。

つまり日本人の緑内障の7割以上は、眼圧ではなく「目の血流不足」が主な原因である可能性があるのです。これが、鍼灸による血流へのアプローチが注目される大きな背景です。

緑内障の怖さは「気づかないうちに進む」こと

緑内障の特徴として、初期は自覚症状が少なく気づかないうちに進行してしまう点が挙げられます。発症していても痛みなどの自覚症状がない場合が多く、視野が欠けていても目の動きや両目を使って視界をカバーできるため症状を自覚しにくいため、目が見えにくくなってから検査を受けて緑内障と診断されるケースもあります。

そして一度欠けた視野は戻りません。だからこそ、進行を少しでも遅らせることが治療の最大の目標になります。

標準治療の限界——点眼薬だけでは追いつかないケース

緑内障の標準治療は、眼圧を下げる点眼薬・レーザー治療・手術です。適切に続ければ多くの患者で進行を抑えられますが、一部の患者は十分な効果が得られないことが分かっており、危険因子の解明とともに異なるアプローチの治療手段の存在が期待されています。

実際の臨床現場でも、次のようなケースが見られます。

点眼薬を使い続けても緩やかに進行してしまうケースがあり、また刺激が強い点眼薬の種類や回数が増えると、角膜や瞼に炎症を起こすなどの問題を生じることがあります。

特に正常眼圧緑内障の場合、眼圧が正常範囲内にあるため、どこまで眼圧を下げればいいのかの判断が難しく、眼圧コントロールが良好であっても約50%の症例で視野障害の進行が認められており、眼圧下降以外の新しい治療法の発見と確立が急務であることが示されています。

このような状況から、血流改善・自律神経調整・視神経保護という視点での補完的アプローチとして、鍼灸への関心が高まっています。

六甲道本院
三ノ宮院
明石院

鍼灸が緑内障にアプローチできる理由

鍼灸治療は視覚に対する効果が古くから報告されている治療手段であり、血流量の改善や眼圧の低下などの報告は、緑内障の進行抑制への関与が期待されています。

鍼灸が緑内障に対してアプローチできるポイントは、大きく4つあります。

① 眼底・視神経周囲の血流を改善する

緑内障では視神経の血流が低下している部位と視野障害のある位置が一致していることが知られており、薬物治療のみでは下がらなかった眼圧が、毎日ツボの刺激を続けて血流改善を図ることで眼圧が下がったり、視野障害の進行が抑えられたとの成果も数多く報告されています。

目の周囲のツボ(晴明・攅竹・太陽・風池など)への鍼・灸の刺激によって、眼底への血流を促します。鍼灸施術により眼球の血流がよくなり、毛様体血管に対して大きな調整作用があることがわかり、それによって視神経乳頭の虚血など微小な循環障害を解消させ、眼の機能障害を正常に回復させると考えられています。

② 眼圧の安定・低下をサポートする

緑内障では眼圧の上昇は症状の進行につながるため、眼圧を下げる効果のある経穴に鍼やお灸を用いて刺激していきます。

眼圧の上昇には自律神経の乱れが関与していることが知られています。緑内障は交感神経の緊張により高まることがあるため、いかに緊張状態をほぐして質の良い睡眠をとれるようにするかということも大切です。

鍼灸は自律神経のバランスを整える作用があり、交感神経の過剰な緊張を緩和することで眼圧の変動を安定させる効果が期待されます。週1回のペースで2ヶ月通院した結果、病院の定期検査で眼圧が13まで下がっていることが確認された事例もあります。

③ 首・肩・頭部の血流を改善し、目への影響を断つ

緑内障で来院される患者に見られる特徴は、頸部(首)・肩〜背中の筋拘縮と頭痛・頭重感・目の周りの筋肉の硬さであり、特に首から上の血液・リンパの循環が悪く、体温が平均より低い方が多いという特徴があります。

首・肩のこりは頭部・眼部への血流を阻害します。鍼灸で首肩の筋緊張を緩和し、頭部全体の血流を改善することで、目への血液供給量を増やすことができます。特に正常眼圧緑内障では、冷え・低血圧・肩こりとの関連が指摘されており、全身の血流改善が重要な意味を持ちます。

④ 東洋医学的に「肝」と「腎」を整える

東洋医学では、目は「肝」と深く結びついており、「肝開竅于目(かんはめにひらく)」と古典に記されています。また腎は生命エネルギーの根本を担うとされ、視神経の働きとも関連が深いと考えられています。

緑内障を東洋医学的に見ますと五臓六腑の肝と腎が深く関係していると考えられていますので、肝や腎の特に重要なツボも用いて鍼やお灸の刺激をしていきます。東洋医学の特徴である全身を診て治療していくことにより、人間の本来持っている体を正常に戻そうとする自然治癒力を引き出します。

加齢・過労・睡眠不足・慢性的なストレスは東洋医学的に「腎の消耗」を引き起こし、目の機能低下と結びつくと考えます。全身の根本的な体力を高める施術が、視神経の耐性を保つことにつながります。

正常眼圧緑内障への鍼灸の可能性

日本人に多い正常眼圧緑内障は、眼圧を下げる治療だけではカバーしきれない部分があります。

正常眼圧緑内障の改善法のひとつとして眼の血流を良くするという治療法が古来より伝承されており、東洋医学でもその有用性が実証されています。

また、眼圧が正常範囲内であっても日内変動が6mmHg以上ある緑内障の方は注意が必要であり、眼圧の変動を小さく保つことが視野障害の進行抑制に重要とされています。

鍼灸による自律神経の安定化は、この眼圧の日内変動を小さくすることにも寄与すると考えられます。眼圧そのものが高くなくても、変動が大きければ視神経への負担は増します。鍼灸で自律神経を整え、眼圧を安定した状態に保つことは、正常眼圧緑内障の管理において重要な意味を持ちます。

鍼灸と標準治療の関係——「代わり」ではなく「補完」

ここで明確にしておきたいことがあります。鍼灸は緑内障の標準治療(点眼薬・レーザー・手術)の代わりになるものではありません。

鍼灸単独の施術ではなく、眼圧を下げる点眼薬などとの併用が原則であり、かかりつけの眼科医の指示に従い正しく点眼を行うことが大切です。

鍼灸の役割は、標準治療を続けながら、薬だけではカバーしにくい「眼底血流の改善」「自律神経の安定」「全身の体力回復」にアプローチすることです。

点眼療法に鍼治療を併用することで、今まで不安定だった眼圧が長期的な安定を得られている患者もいます。

眼科の定期検査を継続しながら、鍼灸を並行して取り入れるという選択が、緑内障と長期的に付き合っていくうえで現実的なアプローチです。

緑内障と鍼灸——こんな方に特に向いている

次のような方は、鍼灸による補完的アプローチを検討する価値があります。

・点眼薬を続けているにもかかわらず視野の進行が止まらない
・正常眼圧緑内障で、眼圧は正常なのに症状が進んでいる
・首肩のこりがひどく、冷え性・低血圧・偏頭痛を持っている
・点眼薬の種類や回数が増えて、眼や瞼への刺激が気になっている
・眼精疲労がひどく、目の疲れが日常生活に影響している
・ストレスや睡眠不足で眼圧が不安定になりやすいと感じている
・自律神経の乱れを感じており、体全体のコンディションも整えたい

日常生活でできること——鍼灸と合わせて取り組む習慣

鍼灸と並行して、日常生活での取り組みも緑内障の管理に役立ちます。

眼圧を上げないための注意

コーヒーなどのカフェインの摂取・多量の飲酒や水分の摂取・喫煙は眼圧を上昇させることがあるため控えましょう。ステロイド剤の長期使用や眼を圧迫するようなマッサージにも注意が必要です。

血流を改善する生活習慣

高血圧・低血圧・糖尿病など全身の血流の異常と関わりがあると推測され、これらの血流改善のためにウォーキングや軽めのジョギングなど適度な運動もお勧めです。

首・肩のこりを放置しないことも重要です。長時間のパソコン・スマートフォン作業は首肩の筋緊張を生み出し、眼部への血流を阻害します。定期的に首を動かす・温める習慣が、目の血流維持に役立ちます。

睡眠と自律神経の管理

睡眠中は副交感神経が優位になり、眼圧が下がりやすい状態になります。質の良い睡眠を確保することが眼圧の安定に直結します。就寝前のスマートフォン操作・強い光刺激を避け、入浴で体を温めてリラックスした状態で眠ることを心がけましょう。

まとめ

緑内障は、日本人の失明原因第1位の疾患です。特に日本人に多い正常眼圧緑内障は、眼圧よりも眼底血流の障害が主な原因と考えられており、点眼薬だけでは進行を完全に止められないケースが存在します。

鍼灸は、眼底血流の改善・自律神経の安定・眼圧変動の抑制・全身の体力回復というアプローチで、標準治療を補完する役割を果たすことができます。特に正常眼圧緑内障・冷え性・肩こりを持つ方・点眼薬への刺激が気になる方には、鍼灸との併用を検討する意義があります。

大切なのは、眼科の標準治療を中断せず継続しながら、鍼灸を「もう一本の柱」として加えるという考え方です。緑内障は進行を遅らせることが治療の目標です。できることをひとつでも増やして、視野を守り続けることが大切です。

※本記事は情報提供を目的としたものです。緑内障の治療・管理については必ず担当眼科医にご相談ください。自己判断で点眼薬を中止することは危険です。

当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。