ミントはり灸院・IBS(過敏性腸症候群)と鍼灸|ストレス・自律神経から考えるお腹の不調とのつきあい方

投稿日:2026年10月22日

IBS(過敏性腸症候群)と鍼灸|ストレス・自律神経から考えるお腹の不調とのつきあい方

カテゴリ: 過敏性腸症候群

「大事な会議の前になると、お腹が痛くなる」「電車に乗ると、急にトイレに行きたくなって不安になる」「下痢と便秘を繰り返しているのに、検査では異常なしと言われた」——そんなお悩みを抱えている方は、決して少なくありません。

こうした症状は、IBS(過敏性腸症候群)と呼ばれる状態かもしれません。命に関わる病気ではないと言われても、毎日の外出や仕事、人づきあいに影響が出て、つらい思いをされている方が多いのです。

この記事では、IBSとはどんな状態か、なぜストレスでお腹に症状が出るのか、病院ではどんな治療が行われるのかを整理します。そのうえで、鍼灸の研究で分かっていること、そしてミントはり灸院がどのように考えているかを、正直にお伝えしていきます。

院長 森本 賢司

この記事の執筆者

ミントはり灸院 院長
森本 賢司

高度専門鍼灸師

【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師

【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証

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IBS(過敏性腸症候群)とは?

腹痛と排便の変化が続く状態

IBSは、腹痛やお腹の不快感が、排便と関連して続く状態です。国際的な診断基準(Rome IV基準)では、腹痛が最近3か月のうち週に1日以上みられ、「排便と関連する」「排便の頻度が変わる」「便の形が変わる」のうち2つ以上に当てはまることが目安とされています。また、症状の始まりが診断の6か月以上前であることも条件のひとつです。

大切なのは、大腸の検査をしても、明らかな炎症や腫瘍などの異常が見つからないという点です。そのため、「異常なし」と言われて、かえって戸惑ってしまう方も多いようです。

下痢型・便秘型・混合型

IBSは、便の状態によって、次のように分けられます。

・下痢型|軟らかい便や水のような便が多く、突然の便意に悩まされやすい
・便秘型|硬い便が多く、お腹の張りや残便感が気になる
・混合型|下痢と便秘を繰り返す
・分類不能型|上のどれにも当てはまらない

日本人の約6〜14%に見られる身近な症状

IBSの有病率は、世界全体で約10%とされています。日本でも、調査によって幅はあるものの、約6〜14%と報告されており、決して珍しい状態ではありません。「自分だけがこんなに弱いのかも」と思わなくて大丈夫です。

IBSの原因と、悪化しやすい要因

脳と腸が影響し合う「脳腸相関」

IBSの病態を理解するうえで、重要とされているのが脳腸相関です。これは、脳と腸が神経やホルモンを通じて、互いに影響し合っているという考え方です。IBSの方では、お腹の刺激に対する脳の反応が強かったり、感情に関わる脳の領域の働きに特徴が見られたりすることが報告されています。

ストレスや自律神経の乱れ

ストレスを感じると症状が悪化するという関係は、IBSの方で、そうでない方よりも強く見られるとされています。また、ストレスがかかったときに、大腸の動きが活発になることも示されています。心の緊張が、そのままお腹に表れやすいのが、IBSの特徴のひとつと言えるでしょう。

腸内環境や感染性腸炎の後に発症することも

腸内細菌のバランスが、そうでない方と異なっていることも報告されています。また、食中毒などの感染性腸炎にかかった後に、IBSを発症することがあり、感染性腸炎の約1割で起こるとされています。女性や若い方、心理的な負担を抱えている方、腸炎が重かった方で、そのリスクが高いと言われています。

腸の粘膜や、神経伝達物質も関わる

IBSの方では、腸の粘膜のバリアが少し弱くなっていたり、ごく軽い炎症のような状態が見られたりすることも報告されています。また、気分や腸の動きに関わるセロトニンなどの物質が関与している可能性も考えられています。こうした要因が、脳からの信号と重なることで、腸が過敏に反応しやすくなると理解されています。

睡眠不足や食事の乱れなど、生活面の要因

睡眠不足や疲労の蓄積、不規則な食事なども、症状を悪化させるきっかけになりやすいと考えられています。原因がひとつに絞れないことも多く、いくつかの要因が重なって症状につながるのがIBSの特徴です。

「緊張するとお腹が痛くなる」のはなぜ?

会議の前、試験の前、満員電車の中——緊張する場面でお腹が痛くなり、トイレのことばかり気になってしまう。そんな経験は、IBSの方にとってはおなじみのものかもしれません。

これは、決して「気の持ちよう」ではありません。緊張やストレスによって、脳から腸へ信号が送られ、大腸の動きが変化することが、実際に体の中で起きています。さらに、「また痛くなったらどうしよう」という不安が、かえって腸を敏感にし、症状を引き出してしまうという悪循環に入ることもあります。

つまり、IBSの症状は、体と心が互いに影響し合っている結果なのです。自分の弱さを責める必要はありません。

まずは受診を|IBSは何科?受診の目安

最初は消化器内科へ

お腹の不調が続くときは、まず消化器内科を受診してください。IBSは、大腸に炎症や腫瘍などがないことを確認したうえで診断されるものです。「そのうち治るだろう」と自己判断せず、まず病気が隠れていないかを調べておくことが大切です。

こんな症状は早めに受診を

次のような症状がある場合は、IBSではなく別の病気が隠れている可能性があります。できるだけ早く受診してください。

・便に血が混じる(血便)
・発熱を伴う
・半年以内に3kg以上、体重が減った
・50歳を過ぎてから、初めて症状が出た
・健診で、便潜血や貧血を指摘された

ストレスや不安が強いときは、心療内科も選択肢

お腹の症状に加えて、不安や気分の落ち込みが強い場合は、心療内科への相談も選択肢です。体と心の両面から診てもらうことで、楽になる方もいらっしゃいます。

病院でのIBSの治療

病院では、症状の程度や型に合わせて、段階的に治療が行われます。

・第1段階|病気の説明、食事や生活習慣の指導に加え、整腸剤や、腸の動きを整える薬を使う。下痢型や便秘型、腹痛など、症状に応じた薬が追加されることもある
・第2段階|ストレスや不安の関わりが強い場合に、心の面にもはたらきかける薬や、ストレスとのつきあい方の指導を取り入れる
・第3段階|薬で十分でない場合に、認知行動療法や、リラックスを促す方法などの心理療法を行う

そのほか、漢方薬が用いられることもあります。治療の効果は4〜8週間ほどで確認しながら、段階を進めていくのが一般的です。

なお、便秘が続くからといって、刺激の強い下剤を毎日のように使い続けるのは、あまり勧められていません。必要なときだけの使用にとどめるのが基本とされています。市販薬で対処している方も、自己判断で続けず、一度医師に相談してみてください。

IBSと鍼灸|研究で分かっていること

IBSに対する鍼の効果は、これまでに多くの研究で調べられてきましたが、結果は一致していません。

ひとつの大規模なレビュー(17件の研究、約1,800人)では、本物の鍼と偽の鍼を比べたところ、症状や生活の質に有意な差は見られませんでした。一方で、薬物療法と比べた研究では、鍼のほうが良い結果が出ています。ただし、これらは、患者さんが「どの治療を受けているか」を知っている状況での比較であり、期待や、施術を受けること自体の影響が含まれている可能性が指摘されています。

より新しい解析(31件の研究)でも、同じ傾向でした。鍼は薬物療法より症状が軽くなりましたが、偽の鍼との差は明確ではありませんでした。腹痛については、偽の鍼よりわずかに良い結果もありましたが、確実性は低いとされています。研究者自身も、偽の鍼を用いた研究では、安定した根拠は示されていないと述べています。

つまり現時点では、「鍼灸がIBSに効く」とも、「効かない」とも、言い切れる段階ではありません。この点は、最初にお伝えしておきたいと思います。

IBSに対する鍼灸の考え方|ミントはり灸院の視点

ここからは、研究で確かめられた内容ではなく、ミントはり灸院としての考え方をご紹介します。

IBSそのものではなく、周辺のつらさを整える補完ケア

当院では、鍼灸でIBSそのものを治すというよりも、IBSのある方が抱えやすい体の緊張やつらさを整える、補完的なケアとして捉えています。診断や治療の中心は、あくまで病院です。

緊張しやすい体、浅い睡眠、お腹まわりの張りに目を向ける

IBSの方を拝見していると、次のような状態が重なっていることが少なくありません。

・首や肩、背中がこわばっている
・お腹がかたく張っている、または冷えている
・眠りが浅く、疲れが抜けにくい
・常に気を張っていて、リラックスしにくい

当院では、触診で全身の状態を確認し、こうした緊張を、やさしい刺激でゆるめていくことを大切にしています。体の緊張がほぐれ、副交感神経が働きやすい状態に近づくことで、お腹の不調と上手につきあうための土台づくりができると考えているのです。

病院の治療との併用をおすすめする理由

鍼灸は、病院での診断や治療に代わるものではありません。当院では、病院の治療と併用していただくことをおすすめしています。お薬は、医師の指示に従って続けていただき、ご自身の判断で中止することは避けてください。

効果の感じ方には個人差があり、改善をお約束するものではありません。それでも、「病院の治療だけでは、体の緊張や睡眠面までは手が届いていない」と感じる方にとって、選択肢のひとつになればと考えています。

日常でできるセルフケア

睡眠・入浴・軽い運動で、自律神経のリズムを整える

睡眠時間を確保し、できるだけ決まった時間に眠る。ぬるめのお風呂にゆっくりつかる。散歩などの軽い運動を取り入れる。こうした当たり前の習慣が、自律神経のリズムを整える助けになります。

食事は、極端な制限をせず、専門家に相談を

食べ物とお腹の関係が気になって、食べるものを自己流で制限してしまう方もいます。腸内で発酵しやすい糖質を控える「FODMAP」という食事法も知られていますが、自己流で長く続けると、栄養が偏るおそれがあります。取り入れるときは、医師や管理栄養士に相談しながら進めてください。

症状の記録をつけてみる

いつ、どんな場面で症状が出たのか、前日の睡眠や食事、ストレスの状況はどうだったか。簡単なメモで構いませんので、記録を続けてみてください。ご自身の傾向に気づけるだけでなく、病院や当院で相談するときにも、状態を正確に伝える助けになります。

緊張する場面の前にできる、小さな習慣

会議や外出の前に、ゆっくり息を吐く深呼吸を数回行う。トイレの場所を事前に確認して、「いざとなっても大丈夫」という安心感を持っておく。そうした小さな工夫が、不安の悪循環をやわらげてくれることがあります。

よくある質問

Q. IBSは自然に治りますか?

症状に波があり、落ち着く時期もあれば、また強く出る時期もあります。続く場合や悪化する場合は、早めに消化器内科で相談してください。

Q. 検査で異常なしと言われましたが、気のせいでしょうか?

気のせいではありません。IBSは、大腸に目立った異常がなくても、症状が続くことが特徴のひとつです。つらい症状があるなら、相談先を変えながらでも、向き合っていく価値があります。

Q. 薬と鍼灸を併用してもいいですか?

当院では、併用をおすすめしています。お薬は、医師の指示に従って続けていただき、鍼灸の予定も、あわせて主治医にお伝えください。

Q. 鍼灸は何回くらい通えばいいですか?

お身体の状態や生活の状況によって異なります。まずは体の状態を確認し、無理のないペースをご相談しながら決めていきます。

まとめ

IBSは、脳と腸が影響し合う「脳腸相関」が関わる、身近で、つらい症状です。ストレスや自律神経の乱れ、生活面の要因が重なって起こるため、「気の持ちよう」ではなく、体に起きていることとして向き合うことが大切です。

まずは消化器内科で、ほかの病気がないかを確認し、病院での治療を土台にしていきましょう。鍼灸の効果は、研究では結果が分かれており、確実とは言えません。そのうえで当院では、体の緊張や睡眠の面から、お腹の不調とのつきあい方を支える補完ケアとして、併用をおすすめしています。つらさが強いときは、一人で抱え込まず、病院にも相談してください。

ミントはり灸院(神戸・明石)では、お腹の不調とストレスの関係に目を向けながら、一人ひとりの体の状態に合わせた鍼灸ケアを行っています。病院での治療との併用を歓迎しておりますので、お気軽にご相談ください。

当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。