ミントはり灸院・【鍼灸院への就活・求人】鍼灸師の給与から知る、鍼灸師のキャリアとは

投稿日:2025年10月4日

【鍼灸院への就活・求人】鍼灸師の給与から知る、鍼灸師のキャリアとは

カテゴリ: 鍼灸院への就職・転職

「給与・待遇はキャリアを左右する」

昨今は初任給がどんどん上がっていく情勢で、ネットのニュース等で「初任給が30万円」なんて見ると、治療院業界はまだまだ低くてげんなりすると思います。
その中でも大手は比較的高めで個人院は低いですよね。その違いは何か?そしてその給料の違いがキャリアに大きく影響します。

今回は業界歴10年超の私が給料の構造を含めて解説します。

院長 森本 賢司

この記事の執筆者

ミントはり灸院 院長
森本 賢司

高度専門鍼灸師

【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師

【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証

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リアル!求職者の声

「個人院は初任給が低いから・・・」(学生さん)
「額面は高いけど・・・」(大手からの転職組)
「練習とかの時間を考えると」(中堅からの転職組)

こうした声が多い印象です。
少し調べてみると院の規模で以下のような給料の違いがあります。

大手グループ院または訪問:固定給+歩合制(20万円~25万円スタートが多い)、福利厚生や昇給制度が整っている

個人院:固定給のみ(16万円~20万円スタートが多い)、昇給やボーナスが院ごとの裁量

初任給で比較すると結構差がありますよね。他にも福祉施設や病院なども大手並みの金額になります。比べてみても個人院が低いということです。

なぜ、個人院が低いのでしょうか?

鍼灸師の給料はどのようにして決まるのか?

鍼灸師の給料は基本的には施術料金によって決まります。月給であれば一ヶ月の施術による売上ですね。中には物販が加算されるところもありますが、賞与などで調整されたりします。

施術者の売上というのは時間*単価で上限が決まるので大きな差がつきません。AさんとBさんに売上が3倍や4倍と変わるわけではないというわけです。

ということは給料の上限も自ずと決まってきます。
理論的には大手も個人院も上限という意味ではそれほどの違いはありません。代表者の給料に対する考えの違いはあれど、大きな差となることはなく業界の平均値にどこの院も近くなっていきます。管理者や経営の近いところに行くと別の給料体系になります。

初任給の違いは何かというと、デビューするまでの早さとデビューしてから利益を出せるまでの売上に到達する期間で決まります。

即戦力になるから初任給を高く設定しても利益が出るということですね。

大手グループ院の場合

多くの大手グループ院のデビュー期間はどれくらいかと言うと約1ヶ月です。そして3ヶ月経つ頃には上限の半分から7割ぐらいの売上を出すようになります。

システム化されているので、手技なども早く習得できるようになっていますし、売上についても短時間で施術していくのでベッド稼働を高めるために人が必要になるからです。

特に保険を使っているところは早くなる傾向にあります。

美容系は保険を使っていませんが、大手などは非常に集客が強く販売モデルも作り込まれていますので、システム化された施術を覚えることで早くにデビューできるようになります。

個人院の場合

個人院の場合は少ないスタッフが教育にあたりますので、教育の方法や内容などが属人化されていたり、施術者に求める技術の幅が広かったりすることで、教育までの期間が長くなる傾向になります。

とある鍼灸院では1年や1年半のデビューまでの期間を設定していたり、1人前になるのに3年ぐらいかかってしまうところもあります。

また大手ほど新規が多くないので、経験を積むのもゆっくりとしか進んでいきません。それが多くの疾患となると・・・3年はかかりそうですね。

ということは、売上が0円の期間が長く続き、デビュー後も利益を残すほどの担当患者数に到達するには数年の期間が必要になるわけです。だから初任給は大手より低くなっています。

売上の構成によってはブラックかも

大手グループはデビューまで早いと説明しましたが、それはシステム化された手技と保険請求という2つのシステムがあるからです。

訪問についても同様です。訪問は往療費なども入ってきますので、保険による一人あたりの売上が高くなります。

美容鍼灸系は自費なので、システム化された手技と保険の代わりとなるエステサロンが採用するような販売システムで成立させています。

そこで疑問なのが、鍼灸師の資格しか持っていない人が鍼をせずに「手技」をしていいのか?はたまた同意書がないのに「保険請求」できるのか?です。

鍼灸師は鍼をするからその前後に筋肉を弛緩させる等の目的のために前柔と後柔があります。あくまでも鍼の準備や術後のケアなんです。
まちがってもマッサージをしてはいけません。同じ仲間であるあんまマッサージ師さんの職業を奪うことになります。同じ職場の柔整師さんが仲間に鍼灸師がいてその人から鍼を教えてくれたからといって鍼をしたらダメですよね。絶対にダメです。

これは整体であっても、ストレッチであっても同じです。資格として「鍼灸師」を名乗っている限りはやってはいけません。医療類似行為とその違いを明確に分けなければならないというのが保健所から指導されています。

「保険請求」も同じです。同意書がない限りは鍼灸で保険請求はできません。なので整骨院等で保険適用されている場合は柔道整復師の資格で行っていることになります。その請求書には「鍼灸」という言葉はないことになります。でも、鍼灸師が施術を最初から最後まで担当しています。これはグレー(ほぼブラック)
往診も利用者の9割は鍼をしません。でも保険が請求できています。おこなっているのは主に手技です。これもグレー(ほぼブラック)。

患者さんのためと、喜んでくれているから、と言って法律を守らない行為は事業者の責任ではありますが、施術をしている担当者にも責任を問われます。もし何かあっても誰も守ってくれません。

最近ではこういったブラックな状況に気持ち的に耐えきれられずに転職する若い方が増えています。あなたの正義は正しい。

デビューまでの長さは業界のヒエラルキー

保険を請求していない鍼灸しかしていないところは問題がないのか?というとそうとも言えません。デビューまで時間がかかってしまうのは雇う側の努力不足です。

鍼灸師と同じようにデビューまで時間のかかる寿司職人。板前に立ってお客さんに寿司を提供できるようになるまで10年なんて言われてきましたが、数年前からその考えも変わってきました。

寿司の専門学校「飲食人大学」をご存知でしょうか?3ヶ月で寿司職人を養成しデビューするレベルまで育てるということで脚光を浴びました。
当時はさまざまな批判もありましたが、そのデビューした人たちが11ヶ月後にミシュランで星を取るお店にまでなり、今では同じような専門学校が増えています。

教育の仕組みを大幅に変えて、徹底した実践によって習得が早くなったそうです。もちろん達人レベルになるには、さまざまな経験が必要なんでしょうが、デビュー基準を考えたときには工夫次第で短くできるということです。

なぜ?何年も修行することが良しとされるのか、苦労の果にデビューができることが当たり前とされているのか、私は業界のヒエラルキーがあるからではないかと思っています。
施術担当者の人気は技術だけでなく、コミュニケーション能力も影響します。なので先輩だからといって優位になるとは限りません。5年目が1年目に抜かれてしまうということも当たり前のようにおきます。

何年も努力してきたのに簡単に抜かれたら良い気分になりませんよね。だから障壁をたくさん作ることで自分の実力に到達するまでの時間稼ぎをしているわけです。

個人院では同期は少なく、だいたい、院長、ベテラン、中堅、新人の構成になります。小さなヒエラルキーが出来上がっており、おのおの自分のポジションを守ろうとして必死になって障壁を作るか、その障壁を維持し続けようとします。

「べき」論によって作られる教育論とデビューまでの時間の長さは相関があると言えるわけです。

どちらが悪いとか良いではない

今回のテーマは「給料」がキャリアを決めるというテーマなので、どちらが良いとか悪いとかは判断できません。

初任給が高いから全てが良いというわけではないからです。

奨学金の返済など人それぞれ生活の状況などが違うので、必要な給料も変わってきます。

アルバイトのように月給だけで決めてしまうと思ったようなキャリアにならない可能性もありますので、鍼灸師としての将来像を意識して就職先を選びましょう。

給与・キャリアを確認する際の質問例

「初任給・昇給・賞与の仕組みは?」
→キャリアパスがあるのか確認できます。

「会社から天引きされることはないのか?」
→研修費やユニフォーム代などを請求するところもあります。

「歩合給がある場合、条件は?」
→歩合には割合があるので確認しましょう。入社2年目からという制約がある場合もあります。

「研修期間中の給与は?」
→大手は一緒で個人院は下がるところが多いようです。

「入社3年目の人の手取り額は?」
→額面ではなく手取額を聞きましょう。

「研修などの残業・休日の取り扱いは?」
→休憩中や残業時間、休日に研修する場合があります。
→無給のところも多いです。

「鍼灸施術の保険請求はどのように管理されているか?」
→メニューとして存在する、鍼灸の保険適用分は何か確認しましょう。

このあたりを聞いてもらうと働いてからのイメージがつきやすくなります。

ミントはり灸院の場合

当院は大手でも個人院でもありません。あえて言うなら小規模なグループ院です。

立ち位置としても両者の間にあると考えてください。

ただ、保険請求はしておりませんので法令は遵守しております。

保険や手技の両輪がない分、デビューまでの期間は大手よりは長くなりますが、研修や練習時間をしっかり確保することで平均すると半年程度でデビューできるように設計しています。

まだまだ短くできると考えており、毎年内容を更新しています。

給料設定もグループ院ほどではないですが、個人院よりは高くなるようにしています。

「鍼灸師として鍼灸の技術で生きていく」ためのキャリアプランを提案しています。

どんな職場なのか気になる人は以下の【神戸の鍼灸院「ミントはり灸院」求人サイト】を確認してください。

まとめ

鍼灸師の給与は「大手か個人院か」という違いだけでなく、 教育体制・保険請求の有無・デビューまでのスピード に大きく左右されます。初任給の高さだけで職場を選ぶと、将来のキャリアを誤る可能性もあります。 給与と待遇、そして法令遵守の姿勢 をしっかり見極め、自分が目指す鍼灸師像に合った職場を選びましょう。

当院「ミントはり灸院」は、根本から改善することに特化した神戸の鍼灸院です《年間10,000人超の実績》。六甲道駅3分”六甲院”/三ノ宮駅6分”三ノ宮院”/明石駅5分”明石院”の3店舗がございます。全室個室でマンツーマンで施術しています、ぜひお越しください。