ミントはり灸院・アトピー性皮膚炎と民間療法のリスク|鍼灸治療を正しく活用するには

投稿日:2026年1月22日

アトピー性皮膚炎と民間療法のリスク|鍼灸治療を正しく活用するには

カテゴリ: アトピー・アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみや皮膚の炎症が長く続き、日常生活にも大きな影響を与える疾患です。また見た目においても悩みがあります。

こういったストレスが大きさから、「少しでも良くなりたい」「このつらさから解放されたい」そう思って、さまざまな治療法を調べている方も多いのではないでしょうか。

インターネットやSNSを見ていると、薬以外の方法や、いわゆる“民間療法”と呼ばれるものが目に入ることもあります。

中には「これで治った」「薬を使わずに改善した」といった体験談もあり、希望を感じる一方で、どれを信じてよいのか迷ってしまう方も少なくありません。

しかし、アトピー性皮膚炎の治療では、「何を選ぶか」だけでなく、「どのように選ぶか」がとても重要になります。治療の選択によっては、症状が改善しないだけでなく、かえって悪化してしまうケースが報告されていることもあります。

この記事では、アトピー性皮膚炎と民間療法のリスクについて整理しながら、鍼灸治療を含め、医療として正しく活用するための考え方をわかりやすくお伝えしていきます。

あなたにぴったりの治療選択を考えるうえで、少しでも参考になれば幸いです。

院長 森本 賢司

この記事の執筆者

ミントはり灸院 院長
森本 賢司

高度専門鍼灸師

【略歴】
神戸東洋医療学院卒業
神戸東洋医療学院にて河村廣定先生に師事
明治国際医療大学 大学院 修士課程 修了
神戸東洋医療学院 非常勤講師

【資格】
はり師免許証・きゅう師免許証

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アトピー性皮膚炎治療をめぐる現状と課題

アトピー性皮膚炎は、症状の出方や経過に個人差が大きく、「これをすれば必ず治る」という単純な治療法が存在しません。

浸出液が多い、かゆみが強い、寝ているときが辛い、運動すると楽などなど。症状の出方や改善の仕方にも個人差が出やすい疾患です。

そのため、多くの方が試行錯誤しながら治療を続けているのが現状です。一方で、その過程で治療選択に迷い、「この方法で本当に正しいのかな?」と不安を抱えてしまうケースも少なくありません。

改善を求める患者が増えている背景

アトピー性皮膚炎は、かゆみや皮膚の炎症が長期間続くことから、身体的なつらさだけでなく、精神的な負担も大きい疾患です。仕事や学校、対人関係に影響が出ることもあり、「何とか良くしたい」「今の治療以外に方法はないのか」と感じる方が増えています。

また、治療が長期にわたることで、「このまま続けて本当に大丈夫なのだろうか」という不安が生じ、新しい治療法や別の選択肢を探すきっかけになることもあります。

情報過多の時代に起こりやすい医療選択の迷い

現在は、ネットやSNSを通じて、誰でも簡単に治療に関する情報へアクセスできる時代です。アトピー性皮膚炎についても、さまざまな体験談や治療法が紹介されています。

見る側も冷静に「個人差」を理解していても、リコメンドやプラットフォーム側の働きによって情報が怒涛のように押し寄せてくるので、知らないうちに影響されてしまうのです。

情報が多すぎるがゆえに、「どれが正しい情報なのか分からない」「人によって言っていることが違う」と混乱してしまうことも少なくありません。

特に、専門的な説明が十分でない情報や、個人の体験だけをもとにした発信には注意が必要です。

「治したい気持ち」が判断を曇らせるリスク

症状がつらいほど、「早く治したい」「今すぐ楽になりたい」という気持ちは強くなります。それ自体はとても自然なことですが、その思いが強くなりすぎると、治療内容や根拠を十分に確認しないまま、新しい方法に飛びついてしまうことがあります。

アトピー性皮膚炎の治療では、感情だけで選択するのではなく、医学的な視点や安全性を踏まえて冷静に判断することが大切です。正しい情報をもとに、自分に合った治療を選ぶことが、長期的に症状と向き合ううえで重要なポイントになります。

民間療法とは何か|医療との明確な違い

アトピー性皮膚炎の治療について調べていくと、「民間療法」という言葉を目にすることがあります。ですが、この言葉が具体的に何を指し、医療とどう違うのかを正確に理解している方は、決して多くありません。治療を選ぶうえでは、この違いを知っておくことがとても重要です。

民間療法の定義と特徴

民間療法とは、医師や医療制度の中で確立された治療とは異なり、経験則や伝承、個人の体験談などをもとに行われてきた方法を指します。特定の団体や個人が独自に勧めているケースも多く、「自然だから安心」「薬を使わないから安全」といった言葉で紹介されることが少なくありません。

一方で、治療内容や理論が体系化されていなかったり、効果や安全性の基準が明確でなかったりする点が、民間療法の大きな特徴でもあります。

民間療法の中には証拠としての口コミは沢山ありますが、それをもってエビデンスとするのは証拠の確度が低く根拠になりません。

科学的根拠(エビデンス)が確認されていない介入

医療として行われる治療は、臨床研究や治験を通じて、有効性や安全性が検証されています。その中でリスクとベネフィットのバランスを判断し治療法として認められています。しかし、民間療法の多くは、こうした科学的な検証が十分に行われていません。

そのため、「効いた人がいる」という体験談があっても、それが誰にでも当てはまるとは限らず、逆に症状を悪化させたり、思わぬ健康被害につながったりするリスクも否定できません。

特にアトピー性皮膚炎のような慢性的な疾患では、長期間におよぶ不適切な介入が長期的な悪影響を及ぼすことがあります。

医療・補完医療・民間療法の整理

治療を考える際には、「医療」「補完医療」「民間療法」を区別して考えることが大切です。

医療とは、医師や医療国家資格者が、科学的根拠に基づいて行う治療を指します。補完医療は、標準的な医療を否定せず、その効果を補う目的で併用されるものです。一方、民間療法は、こうした枠組みの外で行われることが多く、標準治療を否定したり、置き換えたりする形で勧められるケースも見られます。

アトピー性皮膚炎の治療においては、これらを混同せず、「どの立場の治療なのか」を冷静に見極めることが、結果的に自分の身体を守ることにつながります。

民間療法が抱えるリスクと実際の報告

アトピー性皮膚炎の改善を求める気持ちはとても自然ですが、なかには科学的な根拠が十分でない治療法(いわゆる民間療法)も存在します。こうした方法には、思わぬリスクや注意すべきポイントがあることを知っておきましょう。

有効性・安全性が検証されていない危険性

医療として認められた治療は、長い時間をかけて専門家による研究や治験が行われ、有効性や安全性が確認されています。これに対して、民間療法の多くはこうした科学的な検証を経ていません。

事例として湿疹(小児)では、中国系の「ハーブ軟膏」を外用し続けた結果、外因性クッシング症候群を発症。ハーブ軟膏に強いステロイドが混入していたことが原因でした。

標準治療を否定・中断することの問題点

中には「標準治療を使わずにこの方法だけで治す」というような情報も見られます。しかし、標準治療は長年の研究に基づき安全性と効果が確認されている方法です。これを否定したり中断してしまうと、本来進めるべき治療が遅れ、症状が悪化するリスクが高まる場合があります。

JAMA Oncology(2018)によると、補完医療を受けたがん患者は、標準治療(CCT)の追加治療を拒否しやすく、その結果として死亡リスクが高かった。

アトピー性皮膚炎の重症化と民間療法の関連報告

日本皮膚科学会誌ではアトピー性皮膚炎で「不適切治療」による健康被害の実態調査が報告されています。

福島県立医科大学医学部皮膚科の報告によると、アトピー性皮膚炎患者の民間療法について、不適切な民間療法によって合併症や悪化の事例があったことを報告しています。

https://www.kyudai-derm.org/atopy_ebm/2004/16/pdf/13minkan.pdf

アトピー性皮膚炎において民間療法が問題となりやすい理由

アトピー性皮膚炎は、他の皮膚トラブルと比べても治療が長期にわたりやすく、症状の良し悪しを繰り返す特徴があります。そのため、民間療法の良し悪しが判断しずらく、結果として長期間の悪化状態が続くことで合併症などの問題が生じやすい疾患でもあります。

民間療法の効果が判定できないまま悪化していくというわけです。

慢性炎症疾患としてのアトピー性皮膚炎の特性

アトピー性皮膚炎は、一時的な皮膚の炎症ではなく、「慢性的な炎症」が背景にある疾患です。皮膚のバリア機能が低下し、外からの刺激に過敏に反応しやすい状態が続いています。

そのため、症状が一時的に落ち着いたとしても、治療を中断すると再燃しやすく、「良くなったと思ったらまた悪くなる」という経過をたどることが少なくありません。この特徴が、「もっと別の方法があるのではないか」「今の治療が合っていないのではないか」という不安につながりやすくなります。

誤った介入が症状を悪化させるメカニズム

アトピー性皮膚炎では、皮膚の状態が不安定なため、刺激の強い外用や根拠の乏しい方法が加わると、炎症が一気に悪化することがあります。

また、自己判断で治療を変えたり、標準治療を中断したりすると、炎症を抑えるタイミングを逃し、皮膚のダメージが蓄積されてしまいます。こうした状態が続くことで、かゆみが強くなり、掻くことでさらに皮膚を傷つけるという悪循環に陥りやすくなります。

結果として、「なかなか治らない」「以前より悪くなった」と感じるケースも少なくありません。

民間療法の基本的な考えは「内側から治す」ですが、皮膚そのものへのアプローチは少ないので皮膚の炎症が悪化してしまいます。

重症例に共通して見られる治療選択の傾向

重症化したアトピー性皮膚炎の患者さんをみると、治療の過程でいくつか共通した傾向が見られることがあります。そのひとつが、標準治療を十分に行えないまま、さまざまな治療法を転々としてしまうことです。

「薬は体に悪いものだから使いたくない」「自然な方法で治したい」という思いから、医療との距離が少しずつ広がり、結果的に適切な治療の開始が遅れてしまうケースもあります。

アトピー性皮膚炎では、感覚的な判断だけで治療を選ぶのではなく、担当医とのコミニュケーションを深めて、自分に症状に対応できる薬を見つけることです。アトピー性皮膚炎の薬や軟膏は沢山の種類があります。それだけ幅広く対応できるということですが、ドンピシャを見つけるのが大変でもあります。それを理解して薬を上手に使ってほしいです。

鍼灸は民間療法なのか?

アトピー性皮膚炎について調べていると、鍼灸が「民間療法なのではないか」と感じる方も少なくありません。確かに、医療機関以外で受けるケースも多いため、そうした印象を持たれやすいのが現状です。しかし、鍼灸は一般にイメージされる民間療法とは性質が異なります。

鍼灸が医療国家資格に基づく医療である理由

鍼灸治療は、国が定めた養成課程を修了し、国家試験に合格した「はり師・きゅう師」が行う医療行為です。解剖学や生理学、病理学などの医学的基礎を学んだうえで、安全性に配慮した施術が行われます。

鍼灸治療における研究と臨床の蓄積

鍼灸は、長い歴史の中で経験的に発展してきた側面を持ちながらも、近年では研究や臨床報告が積み重ねられてきています。毎年沢山の論文が出ており、最近では書籍やNHKでも紹介されるようになってきました。

もちろん、すべての症状に対して万能な治療ではありませんが、一定の理論や臨床経験に基づいて行われている点は、体験談だけに依存する民間療法とは異なる特徴と言えます。

アトピー性皮膚炎に対する鍼灸の位置づけ

アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療は、皮膚そのものを直接「治す」というよりも、体全体の状態を整え、症状が出にくい環境をサポートする役割を担います。そのため、鍼灸は標準治療を否定したり、置き換えたりするものではありません。

多くの鍼灸師は医師による診断や治療を基本とし、そのうえで補完的な存在として鍼灸の効果や立ち位置を考えています。

正しい医療を選ぶための判断基準

アトピー性皮膚炎の治療法は数多く紹介されていますが、その中から自分に合ったものを選ぶのは簡単ではありません。だからこそ、「何を基準に判断するか」を知っておくことが、遠回りを避けるために大切になります。

科学的根拠が示されているか

まず確認したいのは、その治療法に科学的な根拠(エビデンス)があるかどうかです。医療として行われている治療は、研究や臨床データを通じて、有効性や安全性が検討されています。

一方で、「○○で治った人がいる」「体験者が勧めている」といった情報は、あくまで個人の感想に過ぎません。すべての人に同じ結果が出るとは限らず、症状や体質によっては合わないこともあります。情報を見る際には、その背景に医学的な説明や検証があるかどうかを意識することが重要です。

証拠が少ない場合は効果が出るメカニズムが理論的に正しいのかも判断材料となります。

医療資格者が関与しているか

次に、その治療に医療資格を持つ専門家が関わっているかも重要な判断材料です。
医師や、国家資格を持つ医療従事者は、疾患や身体の仕組みを学び、安全性や医療としての倫理性も教育を受けているので安心と言えます。

誰がどのような知識と責任のもとで提供している治療なのかが不明な場合、万が一トラブルが起きた際の対応も不透明になりがちです。安心して治療を受けるためには、医療資格を有していることが欠かせません。

「治ると言い切る」「薬をやめさせる」表現への注意

「この方法で必ず治る」「薬を使わなくても大丈夫」「今すぐ薬をやめましょう」といった強い言葉には、注意が必要です。アトピー性皮膚炎は経過や重症度に個人差が大きく、すべての人に当てはまる治療法は存在しません。

標準治療を一方的に否定したり、中断を勧めたりする情報は、症状の悪化につながる可能性があります。治療の選択肢を増やすことと、医療を否定することは別である、という視点を持つことが大切です。

正しい医療を選ぶためには、「安心できそうか」だけでなく、「根拠があるか」「安全性が考えられているか」という視点で、一歩立ち止まって考えることが、結果的に自分の身体を守ることにつながります。

アトピー性皮膚炎と長期的に向き合うために大切な視点

アトピー性皮膚炎は、数日や数週間で完全に治る病気ではありません。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、時間をかけて安定を目指していく疾患です。そのため、治療に取り組むうえでは、長期的な視点を持つことがとても重要になります。

短期的な結果を求めすぎないこと

症状が強い時ほど、「早く良くなりたい」「すぐに効果が出る方法はないか」と思うのは自然なことです。しかし、短期間で劇的な改善をうたう治療法ほど、根拠や安全性に注意が必要な場合があります。

アトピー性皮膚炎では、一時的に症状が軽くなったように見えても、その後に反動で悪化することも珍しくありません。目先の変化だけにとらわれず、症状の安定を目標にする姿勢が大切です。

治療は積み重ねであるという理解

アトピー性皮膚炎の治療は、「一度やって終わり」ではなく、日々のケアや治療の積み重ねによって改善していきます。適切な外用や内服、生活習慣の調整などを継続することで、少しずつ皮膚の状態が回復していくわけです。

途中で不安になったり、効果が分かりにくく感じたりすることもありますが、そうした時こそ自己判断で治療を変えるのではなく、専門家と相談しながら調整していくことが重要です。

なので、相談できる専門家を見つけることが何よりも大切だと言えます。

正しい医療選択が将来のリスクを減らす

アトピー性皮膚炎では、治療の選択が将来の経過に大きく影響します。根拠のある医療を継続することで、症状の重症化や合併症のリスクを抑えることができます。

一方で、誤った情報に基づいた治療を繰り返してしまうと、皮膚の状態が不安定になり、結果的に回復までに時間がかかることもあります。

目の前の不調に右往左往されすぎず、長い目で見て自分の身体を守る選択ができているかどうかを意識することが、アトピー性皮膚炎と上手に向き合うための大切なポイントです。

六甲道本院
三ノ宮院
明石院

まとめ|鍼灸を含めた「正しい医療選択」の重要性

ここまで、アトピー性皮膚炎と民間療法のリスク、そして鍼灸の位置づけについてお伝えしてきました。情報があふれる時代だからこそ、「何を選ぶか」以上に、「どう考えて選ぶか」がとても重要になります。

民間療法と医療は明確に区別する必要がある

民間療法と医療は、同じように見えても成り立ちや考え方が大きく異なります。医療は、研究や臨床の積み重ねによって有効性や安全性が検証されてきたものです。一方、民間療法の中には、その根拠や安全性が十分に確認されていないものも含まれています。

「自然だから安心」「薬を使わないから安全」といったイメージだけで判断してしまうと、思わぬリスクを抱えることがあります。治療を選ぶ際には、その方法がどの枠組みに属するものなのかを冷静に見極めることが大切です。

決して民間療法の全てがダメだとか、あなた頑張っている健康法を否定しているわけではありません。冷静に見極めることが大切です。

アトピー性皮膚炎では治療選択が予後に影響する

アトピー性皮膚炎は、治療の積み重ねによって症状の安定を目指す疾患です。そのため、どの治療を選び、どのように続けていくかが、将来の経過に大きく影響します。

標準治療を適切に行いながら経過を見ていくことで、重症化や生活への影響を抑えることができます。反対に、自己判断で治療を中断したり、根拠の乏しい方法に頼り続けたりすると、回復までに時間がかかってしまうこともあります。

鍼灸は正しく活用してこそ価値を発揮する

鍼灸は、民間療法として一括りにされがちですが、本来は医療国家資格に基づいて行われる医療の一つです。ただし、アトピー性皮膚炎においては、鍼灸だけで治そうとするものではありません。

医師による診断や標準治療を土台とし、そのうえで体調や症状の安定をサポートする補完的な手段として活用することで、鍼灸の持つ価値が発揮されます。

アトピー性皮膚炎と向き合う中で迷ったときは、「この選択は長い目で見て自分の身体を守るものか」という視点を持つことが大切です。身近な医療の相談相手として鍼灸師を活用してみて下さい。

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