嗅覚・味覚障害
■症例3 コロナ後の味覚嗅覚障害

患者
40代男性
来院
202X年10月
症状
過敏性腸症候群で当院に通院していた が、5か月目にコロナに感染したため一時中断。再来した際に発熱は治まったが味覚・嗅覚が全くなくなってしまったため、味覚嗅覚障害に対する治療もすることになった。
数年前にもコロナに感染したことがある。その時も味覚嗅覚障害があり、味覚・嗅覚が全くなくなってしまった。その後回復はしたが米の味はわからない。
数年前にもコロナに感染したことがある。その時も味覚嗅覚障害があり、味覚・嗅覚が全くなくなってしまった。その後回復はしたが米の味はわからない。
治療内容と経過
2回目のコロナ感染以前から鼻に反応があった。(10段階で3)
感染後触診すると悪化し顕著な反応が出ており(10段階で8)、上咽頭にも反応があった。
カウンセリングや触診の結果から、コロナの感染をきっかけに鼻や咽頭部の炎症が起こり、鼻腔の上部にある嗅粘膜や口腔内まで広がり味覚嗅覚障害を起こしていると考えられた。そのため鼻や上咽頭を中心に治療を開始。鼻や上咽頭は鍼やローラー鍼を用いて刺激を加えた。筋肉を触診すると首の緊張も強いことがわかり、鼻や咽への血流が悪くなっていると考え同時に治療した。
また過敏性腸症候群による腹部から側腹部・背部にかけての違和感や痛み改善のため、小腸、大腸、側腹部、背部、腰部にも治療を行っている。食後に症状が出るため胃や膵臓、アレルギーの疑いがあるため肝臓も治療点とした。腹部は鍼とせんねん灸を使用。腹臥位で側腹部、背部、腰部に横刺と斜刺にて刺激を加え、筋緊張をとった。
ご自宅でも鼻や顎の下(上咽頭)をさするように指示をした。
2回目 味・においがするようになった。(10段階で6)
4回目 味覚嗅覚が6割回復。全体的に味はわかるが薄い。米の味はわからない。鼻根部の反応も強かったので、追加で鍼を行った。(10段階で5)
5回目 味覚8割、嗅覚は10割回復。(10段階で4)
11回目 味覚9割回復。(10段階で4)
15回目 味覚10割回復。2回目のコロナ感染前までは回復。2回目のコロナ感染以前から続いている米の味はわからないままなので、その後も継続して治療することになった。(10段階で3)
感染後触診すると悪化し顕著な反応が出ており(10段階で8)、上咽頭にも反応があった。
カウンセリングや触診の結果から、コロナの感染をきっかけに鼻や咽頭部の炎症が起こり、鼻腔の上部にある嗅粘膜や口腔内まで広がり味覚嗅覚障害を起こしていると考えられた。そのため鼻や上咽頭を中心に治療を開始。鼻や上咽頭は鍼やローラー鍼を用いて刺激を加えた。筋肉を触診すると首の緊張も強いことがわかり、鼻や咽への血流が悪くなっていると考え同時に治療した。
また過敏性腸症候群による腹部から側腹部・背部にかけての違和感や痛み改善のため、小腸、大腸、側腹部、背部、腰部にも治療を行っている。食後に症状が出るため胃や膵臓、アレルギーの疑いがあるため肝臓も治療点とした。腹部は鍼とせんねん灸を使用。腹臥位で側腹部、背部、腰部に横刺と斜刺にて刺激を加え、筋緊張をとった。
ご自宅でも鼻や顎の下(上咽頭)をさするように指示をした。
2回目 味・においがするようになった。(10段階で6)
4回目 味覚嗅覚が6割回復。全体的に味はわかるが薄い。米の味はわからない。鼻根部の反応も強かったので、追加で鍼を行った。(10段階で5)
5回目 味覚8割、嗅覚は10割回復。(10段階で4)
11回目 味覚9割回復。(10段階で4)
15回目 味覚10割回復。2回目のコロナ感染前までは回復。2回目のコロナ感染以前から続いている米の味はわからないままなので、その後も継続して治療することになった。(10段階で3)
同時に治療した症状
過敏性腸症候群、腹部から側腹部・背部にかけての違和感や痛み
考察
本症例では鼻の反応の変化とともに味覚嗅覚が回復した。初回のコロナ後も味覚障害が続いていたこと、2回目のコロナ感染以前からも鼻の反応があったことからも慢性的に鼻炎が続いていたと考えられる。それが2回目のコロナ感染をきっかけに悪化、鼻腔上部にある嗅粘膜や上咽頭、口腔内まで広がり味覚嗅覚障害を引き起こしたと考えられる。
鍼治療により鼻炎が改善したことが味覚嗅覚障害の改善につながった。また鼻根部への鍼を追加した後の症状の変化が良かったため、こちらへの刺激も効果があったのではと考えられる。
鍼治療により鼻炎が改善したことが味覚嗅覚障害の改善につながった。また鼻根部への鍼を追加した後の症状の変化が良かったため、こちらへの刺激も効果があったのではと考えられる。
味覚嗅覚障害は自然治癒する場合も多いが、なかなか治らず長期化する例もある。長期化させないためにも早い段階の鍼治療を試してみる価値はあると思った。
■症例2 苦くて何も食べられない

患者
70代女性 神戸市
来院
202X年5月
症状
下咽頭がんのため半年前に1ヶ月間の放射線治療および抗がん剤治療を行ったところ、味覚障害になった。経口摂取は可能だが何を食べても苦く感じ、食べたくても食べることができない。唯一アイスレモンティーは飲める。亜鉛の摂取も行ったが効果はなかった。食事がとれないため現在胃瘻を行っている。
その他にも痰が絡みやすく咳が出だすとなかなか止まらない、便通が悪くお腹が張って苦しいなどの症状もあった。現在は病院で経過観察中。処方されたピコスルファートナトリウム経口液やマグミット錠を飲んでいる。
もともと外食が好きだったが今は食事が楽しめないとのこと。もうすぐ仕事を再開し会食も増えるため、何かできることがないかとネットを検索。当院を受診することになった。
その他にも痰が絡みやすく咳が出だすとなかなか止まらない、便通が悪くお腹が張って苦しいなどの症状もあった。現在は病院で経過観察中。処方されたピコスルファートナトリウム経口液やマグミット錠を飲んでいる。
もともと外食が好きだったが今は食事が楽しめないとのこと。もうすぐ仕事を再開し会食も増えるため、何かできることがないかとネットを検索。当院を受診することになった。
治療内容と経過
触診をすると鼻、咽、気管、大腸、膀胱に反応があり、鼻と咽の反応の悪さが特に際立っていた。また顎や首肩、背中の筋肉の緊張も強かった。
お話を聞くと鼻水が出やすく、緑色の鼻水が出ることもあるとのこと。唾液が出にくく口が乾燥しやすいともおっしゃっていた。
カウンセリングや触診の結果から、鼻炎による炎症が咽頭部にまで広がり味覚障害や咳・痰といった症状を起こしていると考えられた。また鼻炎の影響で口呼吸になり唾液が少なくなっていたことも口腔内の環境を悪化させている要因になっている考え、鼻や咽を中心に治療を開始。また首や肩の緊張も強く、鼻や咽への血流が悪くなり、より症状を長引かせていると考え同時に治療した。
鼻や咽、気管、顎の筋肉には鍼やローラー鍼を用いて刺激を加えた。
腹部は鍼とせんねん灸を使用。
腹臥位で首肩や背中に横刺と斜刺にて刺激を加え、筋緊張をとった。
自宅でローラー鍼を用いた鼻のセルフケアと唾液の分泌を促すため1分間の顎のマッサージを指示した。
鼻や咽の反応の悪さが顕著であったことや本人の早く治したいという気持ちが強かったため、初めの2週間は週に3回。その後は症状の変化に合わせて、週に2回、1回と徐々に間隔を空けながら治療を行った。
【味覚の変化】
5回目 コーンスープが美味しかった。半年ぶりに満腹感を感じた。レモンやオレンジは苦くて食べられなかった。
9回目 友人とランチに行き、ピザ、スープ、プリンは数口食べることができた。中華ラーメンは苦くて食べられなかった。酸味、塩味、辛味は感じにくいのかもしれない。
11回目 えび天が美味しかった。そばは食べられなかった。だしの味がわからない。
19回目 チーズパンを半分食べられた。
20回目 えだまめが美味しかった。桃は食べられなかった。
23回目 親子丼を少し食べられた。
28回目 1口目は食べられるが、2口目は苦く感じる。
33回目 やきそば1/4食べられた。
35回目 ラーメン少し食べられた。コーンが美味しかった。チャーハンは×。ステーキは塩をたくさんかけるとわかる。少しずつ塩味が回復していると考え、多くかけても構わないので食べることを勧めた。
36回目 干し芋食べられた。甘味は美味しく感じることが多い。逆に酸味・だしのうま味が感じづらい。レモンやかつおぶしなど酸味やうま味を感じやすいもの単体で食べる味覚のトレーニングを勧めた。
37回目 カレーを食べられた。
38回目 食べられるものが増えた。レモンは味がしなかった。
39回目 牛丼一杯食べられた。キムチも美味しかった。
【その他の症状の変化】
2回目 鼻がとおりやすくなった。お腹は張る。
3回目 治療後当日と翌日は咳・痰がましだった。首肩こりも良くなっている。
5回目 咳・痰は出たり出なかったり波がある。便が出ることが増えた。
7回目 鼻や咽の変化が良いので週に2回に切り替える。
8回目 寝ると痰が絡む。
9回目 お腹の張りましになった。背中の痛みもない。
15回目 咳の強さがましになった。週末あまり動かなかったのでお腹の張りが強かった。食べられるものも増えてきて負担がかかりやすくなっていると考え、胃の治療も開始。
16回目 今日は咳・痰が強く出た。その他の日は調子が良かった。鼻水も出にくくなった。
19回目 痰絡みにくかった。咳は少し出る。緑色の鼻水が出ることがなくなった。
22回目 寝るとめまいがする。以前から度々あった。耳の治療を追加した。
23回目 鼻水が出なくなった。咳をするとくしゃみも出る。めまいはなくなった。
27回目 鼻がかなりよくなってきた。鼻水、鼻づまりはなし。あとは鼻の奥に違和感があるくらい。顎の緊張も和らぎ唾液も出やすくなってきた。
29回目 周りに風邪を引いている方が多く、風邪気味。咳や痰も多かった。
30回目 その後はひどくならず回復した。
36回目 鼻の奥の違和感が気にならなくなってきた。咳も1日に1~2回まで減った。
その後は目の手術のため入院。治療は中断となったので、ローラー鍼を用いた鼻や咽のセルフケアを勧めた。
お話を聞くと鼻水が出やすく、緑色の鼻水が出ることもあるとのこと。唾液が出にくく口が乾燥しやすいともおっしゃっていた。
カウンセリングや触診の結果から、鼻炎による炎症が咽頭部にまで広がり味覚障害や咳・痰といった症状を起こしていると考えられた。また鼻炎の影響で口呼吸になり唾液が少なくなっていたことも口腔内の環境を悪化させている要因になっている考え、鼻や咽を中心に治療を開始。また首や肩の緊張も強く、鼻や咽への血流が悪くなり、より症状を長引かせていると考え同時に治療した。
鼻や咽、気管、顎の筋肉には鍼やローラー鍼を用いて刺激を加えた。
腹部は鍼とせんねん灸を使用。
腹臥位で首肩や背中に横刺と斜刺にて刺激を加え、筋緊張をとった。
自宅でローラー鍼を用いた鼻のセルフケアと唾液の分泌を促すため1分間の顎のマッサージを指示した。
鼻や咽の反応の悪さが顕著であったことや本人の早く治したいという気持ちが強かったため、初めの2週間は週に3回。その後は症状の変化に合わせて、週に2回、1回と徐々に間隔を空けながら治療を行った。
【味覚の変化】
5回目 コーンスープが美味しかった。半年ぶりに満腹感を感じた。レモンやオレンジは苦くて食べられなかった。
9回目 友人とランチに行き、ピザ、スープ、プリンは数口食べることができた。中華ラーメンは苦くて食べられなかった。酸味、塩味、辛味は感じにくいのかもしれない。
11回目 えび天が美味しかった。そばは食べられなかった。だしの味がわからない。
19回目 チーズパンを半分食べられた。
20回目 えだまめが美味しかった。桃は食べられなかった。
23回目 親子丼を少し食べられた。
28回目 1口目は食べられるが、2口目は苦く感じる。
33回目 やきそば1/4食べられた。
35回目 ラーメン少し食べられた。コーンが美味しかった。チャーハンは×。ステーキは塩をたくさんかけるとわかる。少しずつ塩味が回復していると考え、多くかけても構わないので食べることを勧めた。
36回目 干し芋食べられた。甘味は美味しく感じることが多い。逆に酸味・だしのうま味が感じづらい。レモンやかつおぶしなど酸味やうま味を感じやすいもの単体で食べる味覚のトレーニングを勧めた。
37回目 カレーを食べられた。
38回目 食べられるものが増えた。レモンは味がしなかった。
39回目 牛丼一杯食べられた。キムチも美味しかった。
【その他の症状の変化】
2回目 鼻がとおりやすくなった。お腹は張る。
3回目 治療後当日と翌日は咳・痰がましだった。首肩こりも良くなっている。
5回目 咳・痰は出たり出なかったり波がある。便が出ることが増えた。
7回目 鼻や咽の変化が良いので週に2回に切り替える。
8回目 寝ると痰が絡む。
9回目 お腹の張りましになった。背中の痛みもない。
15回目 咳の強さがましになった。週末あまり動かなかったのでお腹の張りが強かった。食べられるものも増えてきて負担がかかりやすくなっていると考え、胃の治療も開始。
16回目 今日は咳・痰が強く出た。その他の日は調子が良かった。鼻水も出にくくなった。
19回目 痰絡みにくかった。咳は少し出る。緑色の鼻水が出ることがなくなった。
22回目 寝るとめまいがする。以前から度々あった。耳の治療を追加した。
23回目 鼻水が出なくなった。咳をするとくしゃみも出る。めまいはなくなった。
27回目 鼻がかなりよくなってきた。鼻水、鼻づまりはなし。あとは鼻の奥に違和感があるくらい。顎の緊張も和らぎ唾液も出やすくなってきた。
29回目 周りに風邪を引いている方が多く、風邪気味。咳や痰も多かった。
30回目 その後はひどくならず回復した。
36回目 鼻の奥の違和感が気にならなくなってきた。咳も1日に1~2回まで減った。
その後は目の手術のため入院。治療は中断となったので、ローラー鍼を用いた鼻や咽のセルフケアを勧めた。
同時に治療した症状
咳、痰、お腹の張り、便秘、トイレが近い、めまい、首肩こり、背中の痛み
考察
本症例では鼻や咽が良くなってきた27回目以降、徐々に味覚が回復してきた。その他にも鼻や咽の反応が良くなるとともに鼻水や咳や痰も治まっていったことから、鼻や咽頭部の炎症が味覚障害の原因だと考えられた。また鼻炎があると神経の反射を介して首や肩の筋肉を硬くするため、顔面部への血流が悪くなり、より回復に時間がかかったと考えられる。
その他にも鼻炎による口呼吸や顎の緊張による唾液の分泌低下があり、口腔内の環境が悪化していたことも味覚の回復の妨げになっていたと推察される。
鍼治療により鼻や咽頭部の炎症が改善したこと、首や肩の筋肉の緊張が取れたこと、唾液の分泌が増えたことが味覚障害の改善につながった。
その他にも長らく胃瘻を行っていたため胃腸の動きが低下、お腹の張りや便秘を起こしていた。こちらはお灸により徐々に胃腸の動きが良くなり改善した。
がん治療後の味覚障害だったため回復にはかなり時間がかかったが、患者の「食事を取れるようになりたい」という強い気持ちと、少ししか食べられなくても果敢に食事に挑戦する姿勢に支えられた。味覚障害の改善には鼻や咽などの体の回復はもちろんだが、感じにくい味を把握すること、食事に挑戦して味覚を呼び起こしていくこともとても大切だと感じる症例でした。
その他にも鼻炎による口呼吸や顎の緊張による唾液の分泌低下があり、口腔内の環境が悪化していたことも味覚の回復の妨げになっていたと推察される。
鍼治療により鼻や咽頭部の炎症が改善したこと、首や肩の筋肉の緊張が取れたこと、唾液の分泌が増えたことが味覚障害の改善につながった。
その他にも長らく胃瘻を行っていたため胃腸の動きが低下、お腹の張りや便秘を起こしていた。こちらはお灸により徐々に胃腸の動きが良くなり改善した。
がん治療後の味覚障害だったため回復にはかなり時間がかかったが、患者の「食事を取れるようになりたい」という強い気持ちと、少ししか食べられなくても果敢に食事に挑戦する姿勢に支えられた。味覚障害の改善には鼻や咽などの体の回復はもちろんだが、感じにくい味を把握すること、食事に挑戦して味覚を呼び起こしていくこともとても大切だと感じる症例でした。
同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当院の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。
■症例1 変なにおいがする異臭症

患者
30代女性 神戸市
来院
202X年3月
症状
10年前からひどい風邪の後など、時々ゴムのような焦げ臭くて油っぽい異臭がする。来院前1ヶ月は毎日異臭がするようになり、特に生理前後は症状が強くでていた。
また、来院する5ヵ月前にコロナに感染。その後は寝つきが悪く中途覚醒もある。
調理の仕事に影響があり、食事も美味しく感じないため、何かできることがないかとネットを検索。当院を受診することになった。
また、来院する5ヵ月前にコロナに感染。その後は寝つきが悪く中途覚醒もある。
調理の仕事に影響があり、食事も美味しく感じないため、何かできることがないかとネットを検索。当院を受診することになった。
治療内容と経過
触診をすると鼻、咽、肝臓、胃に反応があり、鼻の反応の悪さが際立っていた。(10段階で9)また咽や肝臓の反応も顕著であった。
カウンセリングや触診の結果から、10年前から慢性的な鼻炎があり免疫力の低下や風邪などをきっかけに悪化、鼻腔の上部にある嗅粘膜まで広がり異臭を起こしていると考え、鼻や咽を中心に治療を開始。筋肉を触診すると首や肩の緊張が強いことがわかり、鼻や咽への血流が悪くなり、異臭が長引く要因になっていると考え同時に治療した。
鼻や咽は鍼やローラー鍼を用いて刺激を加えた。腹部は鍼とせんねん灸を使用。
腹臥位で首や肩に横刺と斜刺にて刺激を加え、筋緊張をとった。
月に3回ほどしか来院できないため、自宅で鼻と咽にそれぞれ5分間ローラー鍼を用いたセルフケアを指示した。
3回目 午前中異臭がしない日が週に2日あった。(10段階で8)
4回目 午前中異臭がしない日が週に3~4日あった。(10段階で8)
8回目 夜眠れている日やローラー鍼ができていると調子がいい(10段階で7)
9回目 異臭がうすくなった。(10段階で6)
12回目 くしゃみをすると異臭がするが、ローラー鍼をすると治まる。(10段階で6)
15回目 普段は異臭が少し気になる程度に。生理中は異臭がした。(10段階で4)
20回目 異臭がほとんど気にならなくなったので、月に1回程度のメンテナンスへ移行(10段階で2)
カウンセリングや触診の結果から、10年前から慢性的な鼻炎があり免疫力の低下や風邪などをきっかけに悪化、鼻腔の上部にある嗅粘膜まで広がり異臭を起こしていると考え、鼻や咽を中心に治療を開始。筋肉を触診すると首や肩の緊張が強いことがわかり、鼻や咽への血流が悪くなり、異臭が長引く要因になっていると考え同時に治療した。
鼻や咽は鍼やローラー鍼を用いて刺激を加えた。腹部は鍼とせんねん灸を使用。
腹臥位で首や肩に横刺と斜刺にて刺激を加え、筋緊張をとった。
月に3回ほどしか来院できないため、自宅で鼻と咽にそれぞれ5分間ローラー鍼を用いたセルフケアを指示した。
3回目 午前中異臭がしない日が週に2日あった。(10段階で8)
4回目 午前中異臭がしない日が週に3~4日あった。(10段階で8)
8回目 夜眠れている日やローラー鍼ができていると調子がいい(10段階で7)
9回目 異臭がうすくなった。(10段階で6)
12回目 くしゃみをすると異臭がするが、ローラー鍼をすると治まる。(10段階で6)
15回目 普段は異臭が少し気になる程度に。生理中は異臭がした。(10段階で4)
20回目 異臭がほとんど気にならなくなったので、月に1回程度のメンテナンスへ移行(10段階で2)
同時に治療した症状
不眠、肩こり
考察
本症例では鼻の反応の変化とともに異臭が治まっていった。もともと風邪を引いた後に異臭がしやすいことからも、鼻炎が鼻腔上部にある嗅粘膜まで広がり異臭がしていたと考えられる。また鼻炎があると神経の反射を介して首や肩の筋肉を硬くするため、顔面部への血流が悪くなり、より異臭が長引いたと考えられた。
鍼治療により鼻炎が改善したこと、首や肩の筋肉の緊張が取れたことが異臭の改善につながった。
定期的な通院が難しい中での治療だったが、患者の「異臭をどうにかしたい」という強い気持ちとご自宅でのセルフケアに協力的だったことも症状の改善に向けて支えられた。
鍼治療により鼻炎が改善したこと、首や肩の筋肉の緊張が取れたことが異臭の改善につながった。
定期的な通院が難しい中での治療だったが、患者の「異臭をどうにかしたい」という強い気持ちとご自宅でのセルフケアに協力的だったことも症状の改善に向けて支えられた。
同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当院の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。