神戸市で治療実績豊富なミントはり灸院が症例8 高温期になると体温が下がる不妊症の治療記録をご紹介しています。

■症例8 高温期になると体温が下がる不妊症

画像

患者

30代前半女性 神戸市垂水区

来院

2016年8月

症状

2年前に生理不順で婦人科を受診したところ子宮内膜症、チョコレート嚢胞と診断を受けた。手術するほどではなかったので経過観察となった。しかしその後も生理痛や月経前症候群に悩まされる。その後結婚、半年後に不妊専門クリニックを受診した。子宮内膜症による癒着の可能性はあったが検査での異常はなかった。まずタイミング法で試みたが5か月間たっても妊娠に至らず、担当医師より人工授精を勧められる。母親が当院を受診しており、以前から娘の身体の弱さを感じていたので「人工授精よりも先に体を健康にするべき。」と紹介で来院した。

手足の冷えが強く、基礎体温表を見ても高温期に体温が下がってしまうことがあった。
生理周期は不順で24日~31日と幅があり、生理痛も生理前から後にかけてあり、腹部の痛みが強い。
他にも小学生のころから肩こりを感じていた。

治療内容と経過

全身をくまなく触診すると、咽、気管、子宮の弱さを感じた。
呼吸器の状態を確認すると、風邪を引くと咽から痛みを感じることが多く、咳が止まらないこともあるとのこと。
子宮については問診時に確認した内膜症やチョコレート嚢胞の影響が皮膚の広範囲に出現していた。

高温期の体温低下は自律神経興奮による影響があるので、生理痛や生理前症候群を緩和して、身体への負担を少なくすることを目的として治療を開始した。

治療開始して1か月後の生理時では頭痛はほぼ消失した。冷えやお腹の気持ち悪さは残る。
2周期目では冷えは感じない程度まで改善。
3周期目では症状は全体的に軽くなっている。中でも生理周期が安定していることに驚いていた。
主治医から妊娠に至らない原因として子宮内膜症による癒着があると言われ子宮鏡手術を勧められる。
治療開始後4周期目で手術のため鍼灸治療を休止する。
手術をし6か月後に再度治療を再開、手術の結果を確認すると「癒着はそれほどなかった」とのこと。
その後は間隔を空けながら治療する。治療中、生理痛の波はあったが良い状態を維持する。
鍼灸治療を開始して10か月後に人工授精で妊娠した。

その後、出産直前に股関節の痛みや出産直後にも授乳中の肩の痛みでも来院している。

同時に治療した症状

肩こり

考察

手足の冷えについては、咽や呼吸器は首肩や手先に子宮は腰や足先に神経の興奮を起こす。その結果、自律神経が興奮することで血管の収縮がおきて冷えを起こしていた。肩こりを小学生の頃か感じていたようだったのでおそらく小さいころから呼吸器が弱かったであろう。
生理痛や生理前症候群は子宮や卵巣が原因なるとは限らない、首の筋肉が硬いようだと生理時の頭痛の原因になり、胃が弱いと吐き気などを起こすこともある。生理中は全身の感度を上げるので、小さな不調を大きく感じてしまう。
当初は子宮内膜症の後遺症が原因だと考えていたが手術で癒着範囲が少なかったようにその可能性は低いと考えられる。
患者本人の生理時のストレスは非常に大きかったと想像でき、そのストレスが高温期の体温低下の要因になっていた。手術をしたので鍼灸治療の貢献度は高いとは言えないが念願の赤ちゃんを抱くことができ担当者としても満足している。

同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当院の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。