神戸市で治療実績豊富なミントはり灸院が症例8 帯状疱疹後の神経痛の治療記録をご紹介しています。

■症例8 帯状疱疹後の神経痛

画像

患者

40代男性 神戸市 I様

来院

202X年10月

症状

来院1カ月前(8/27)から脇がピリピリする感じがあり、4日後(9/1)には発疹が出てきた。
週明けに(9/3)病院を受診したところ帯状疱疹と診断されステロイド治療を1週間行った。
発疹は治まってきたが、激痛が続くためペインクリニックに通院。痛み止めの服用とブロック注射を3回行っているが、効果はいまひとつだった。
発症後1カ月経っても痛みが続き困っていたところ、知り合いから鍼で帯状疱疹が良くなった話を聞きネットで検索。当院に来院。初診時は電気が走るような激痛が数秒おきにあり、仕事は進まず、夜も眠れない状況だった。

治療内容と経過

皮膚の状態を確認すると胸部から右脇、背中にかけて帯状疱疹の痕や赤みがあった。触診をすると胸部から右脇、背中の皮膚の緊張が非常に強く、鼻、咽、胃、肝臓にも反応があった。
帯状疱疹後神経痛が皮膚の張りによって増強され、その痛みによって睡眠を妨げることが症状を長期化させていると考えられた。
まずは少しでも痛みを和らげ睡眠がとれることが回復への近道と考え、皮膚の緊張を取ることを目的に2日に1回のペースで治療を開始。痛みが出ている範囲に鍼やお灸を行った。
セルフケアとして胸部へのお灸、触れても痛みが出なくなってからは痛みが強い部分をさするように指示した。

4回目(1週間) 痛みの強さが10→9。精神安定剤服用。眠気が強く寝られた。
6回目 痛みの強さが7。痛みの感覚が数秒から5分おきに。寝つけるが1~2時間おきに痛みで起きる。
7回目 痛みの強さが6。痛みで起きることなく一晩眠れた。
11回目(1ヵ月)痛みの強さ4。右脇がしびれる感じがする。胸の強い痛みなくなり、途中で起きることがなくなったため治療ペースを週2回に変更。
18回目(2ヶ月) 肩こりや眠気の訴えがあったため、初診時から反応があった鼻や咽の治療を追加。
21回目 痛みの強さ4。右胸、棘下筋周辺、右脇前側に不定期で痛みや強いしびれ。
24回目(3ヵ月) 痛みの強さ3。胸や脇の痛みやしびれの頻度が減った。背中のしびれが目立つため棘下筋、大円筋など背面の治療を増やす。
25回目 背中のしびれが前回より回復。
27回目(4ヵ月)痛みの頻度が数日おきに減ったため治療ペースを週1回に変更。
34回目。痛みの頻度がさらに減る。たまにズキッとする程度。胸がピリピリしびれる感じがある。
36回目(6カ月)引っ越しのため治療終了。引き続きセルフケアをしてもらうことになった。

同時に治療した症状

肩こり、赤ら顔、眠気、胃炎、下痢

考察

帯状疱疹後神経痛はウイルスにより傷つけられた神経が過剰に興奮することで痛覚過敏(痛みを強く感じる)やアロディニア(通常なら感じない小さな刺激でも痛みを感じてしまう)を引き起こしていると考えられている。ブロック注射や痛み止めの処方も神経の過剰な興奮を抑える目的だったのだろう。しかし今回の症例では効果はあまりなかった。皮膚の緊張や繰り返される痛みで痛覚過敏が増強されており、痛みの神経を遮断するだけでは痛みが取れなかったのではないかと思う。また、強い痛みの影響で睡眠不足になっていたことも回復を遅らせていた。
痛みが出ている皮膚領域への鍼灸刺激により皮膚の緊張が和らいだことで、痛みがない時間が生まれ、神経の過剰な興奮を抑える効果や睡眠がとりやすくなった。それが痛みの軽減に繋がったのではないかと思う。

初診時は激痛のため待合でうずくまる程辛そうだったが、徐々に回復しPCで仕事を進めている様子を見たときはほっとした。患者の治したいという強い思いと熱心に治療に向き合う姿勢に支えられた。ただ治療にかなりの時間を要したため、さらに効率よく皮膚の緊張を取る方法がないか今後も検討したい。

同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当院の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。

<神経痛を起こすしくみ>
神経節で増殖したウイルスは、皮膚まで下降して、帯状疱疹を起こすと同時に、神経を上行して、脊髄後角に到達して感染を起こし、脊髄後角の炎症を生じ、修復するために集まった小型の神経膠(こう)細胞(修復細胞)が分泌する神経栄養因子によって神経を新生させ痛覚過敏(いつも感じる痛みをさらに強く感じる)やアロディニア(異痛症/触った刺激を痛みとして感じる状態)を生じます。
帯状疱疹後神経痛は、神経自体が自然発火して痛みを生じる状態です。とても痛みが強く、ヒトによっては、20-30秒に1回の電撃痛が1日中繰り返す例もあります。痛みには、ヒリヒリする痛みや内臓を締め付けるような痛み、焼けるような灼熱痛があります。 このような帯状疱疹後神経痛の痛みの継続には、神経接合部の長期興奮状態(長期増強と言います)による痛みの記憶と、ウイルスによる脊髄後角の炎症後の痛覚神経回路の増殖が加わります。